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「投手・大谷」の成績はどの投手と似ていて「打者・大谷」はどの打者に近いのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)Oct 2, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は、先発28登板で166.0イニングを投げ、防御率2.33を記録した。

 166.0イニングは、両リーグで42番目に多い。防御率2.33は、162.0イニング以上の45人中、6番目に低い。イニングが大谷と近い11人――36位タイ~41位の6人と43位~47位の5人――と、防御率が大谷に近い10人――1位~5位の5人と7位~11位の5人――は、それぞれ以下のとおりだ。

筆者作成
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 どちらにも名を連ねている投手は、シェーン・マクラナハン(タンパベイ・レイズ)しかいない(「軸」としている大谷は除く)。マクラナハンの166.1イニングは、大谷と0.1イニングしか違わない。こちらも先発28登板なので、1登板の平均イニングはほぼ同じだ。防御率は、大谷が2.33、マクラナハンは2.54だが、その差は0.21に過ぎない。自責点は43と47だ。

 2人は、K/BBもよく似ている。大谷が4.98(10位)、マクラナハンは5.11(9位)だ。今シーズン、投手としての大谷の成績は、マクラナハンに最も近かった、と言っていいのではないだろうか。

 もちろん、細かく見ていけば、違いはいくつもある。例えば、FIPは、大谷が2.40(3位)、マクラナハンは3.00(10位)だ。先発6イニング以上で自責点3以下のクオリティ・スタート(QS)は、大谷が16度、マクラナハンは18度。QS率は、57.1%と64.3%となる。ちなみに、K/BBの内訳は、大谷が奪三振率11.87と与四球率2.39(219奪三振と44与四球)、マクラナハンは10.50と2.06(194と38)だ。

 マクラナハンは、2018年のドラフト1巡目・全体31位。2020年のディビション・シリーズでメジャーデビューし、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズとワールドシリーズでも投げた(いずれもリリーフ)。昨シーズンの成績も、大谷とかけ離れてはいない。各スタッツを大谷、マクラナハンの順に挙げると、登板が23と25、イニングが130.1と123.1、防御率が3.18と3.43、FIPが3.52と3.31、K/BBは3.55と3.81だ。QSは大きく異なり、14度(60.9%)と6度(24.0%)だが、マクラナハンのQSが少ないのは、ケビン・キャッシュ監督、あるいはレイズの方針が理由ではないかと思われる。QSではない19登板のうち12登板は、3失点以下&85球未満だった。

シェーン・マクラナハン(タンパベイ・レイズ)Oct 1, 2022
シェーン・マクラナハン(タンパベイ・レイズ)Oct 1, 2022写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 一方、大谷が打者として記録した、34本塁打、出塁率.356、OPS.875は、11位タイ、27位、10位に位置する(出塁率とOPSは502打席以上の130人中)。こちらも、大谷に近い選手を並べると、以下のようになる。

筆者作成
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 マニー・マチャド(サンディエゴ・パドレス)、ノーラン・アレナード(セントルイス・カーディナルス)、ラファエル・デバース(ボストン・レッドソックス)、ムーキー・ベッツ(ロサンゼルス・ドジャース)、ピート・アロンゾ(ニューヨーク・メッツ)、ホゼ・ラミレス(クリーブランド・ガーディアンズ)の6人は、3部門中2部門に登場する。

 大谷と最も近い成績の打者を1人に絞るのは難しいが、敢えて挙げるなら、ベッツという気がする。35本塁打とOPS.873は、どちらも大谷とほとんど同じ。出塁率.340も、大きくは離れていない。ホームラン1本当たりの打数も、大谷が17.2、ベッツは16.3。その差は1打数未満にとどまり、30本塁打以上の23人中、13位と12位に位置する。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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