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離脱していた「防御率トップ2」の2人が相次いで復帰。サイ・ヤング賞の行方は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジャスティン・バーランダー(ヒューストン・アストロズ)Sep 16, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月15日、シェーン・マクラナハン(タンパベイ・レイズ)は、5イニングを投げ、スコアボードにゼロを5つ並べた。その翌日に登板したジャスティン・バーランダー(ヒューストン・アストロズ)は、こちらも5イニングを無失点。それだけでなく、ヒットも打たれなかった。

 2人とも、今月の登板は、これが初めてだ。マクラナハンは左肩、バーランダーは右のふくらはぎを痛め、先月下旬から故障者リストに入っていた。

 彼らの復帰により、ア・リーグのサイ・ヤング賞レースには、有力候補が再び出揃ったと言っていいだろう。防御率のトップ5には、1.78のバーランダー、2.13のマクラナハン、2.16のディラン・シース(シカゴ・ホワイトソックス)、2.43のアレック・マノーア(トロント・ブルージェイズ)、2.55のフランバー・バルデス(アストロズ)が並んでいる。他の投手は、防御率2.80以上だ。大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)の防御率は2.55だが、141.0イニングは、チームの試合数×1に満たない。

 防御率は、判断材料の一つに過ぎないものの、現時点でサイ・ヤング賞を選ぶなら、バーランダーが受賞し、マクラナハンが2位、シースは3位ではないだろうか。過去15年にシーズン防御率2.00未満を記録した延べ9人のうち、7人はサイ・ヤング賞を手にしている。あとの2人は、同じリーグに防御率2.00未満が他にもいた。

筆者作成
筆者作成

 2015年のナ・リーグの2人、防御率1.66のザック・グレインキー(当時ロサンゼルス・ドジャース/現カンザスシティ・ロイヤルズ)と防御率1.77のジェイク・アリエタを比べると、防御率だけでなく、イニング(222.2と229.0)とK/BB(5.00と4.92)も僅差ながら、FIP(2.76と2.35)はアリエタのほうがかなり低い。サイ・ヤング賞は、169ポイントのアリエタが受賞し、147ポイントのグレインキーは2位に位置した。それぞれの1位票は、17票と10票。残る3票は、防御率2.13のクレイトン・カーショウ(ドジャース)が得た。

 2020年のア・リーグの2人、防御率1.63のシェーン・ビーバー(クリーブランド・インディアンズ)と防御率1.99のダラス・カイクルは、防御率に加え、イニング(77.1と63.1)、K/BB(5.81と2.47)、FIP(2.07と3.08)のいずれも、ビーバーが勝る。ビーバーは全員から1位票を得て、カイクルは5位に終わった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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