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日本でも開花できなかった30歳のルーキーが、デビューから1ヵ月経たずに6本塁打

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョーイ・メネセス(ワシントン・ナショナルズ)Aug 23, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月2日、ワシントン・ナショナルズは、6選手と交換に、ホアン・ソトジョシュ・ベルとサンディエゴ・パドレスへ放出した。このトレードがなければ――ソトがナショナルズに提示された15年4億4000万ドルの延長契約を受け入れていれば――ジョーイ・メネセスのメジャーデビューは、実現していなかったかもしれない。

 トレードと同じ日にAAAから昇格し、メネセスは、その日の試合に「6番・一塁」として出場。3打席目に、メジャーリーグ初安打となるホームランを打った。

 メネセスは、30歳のメキシカンだ。2011~18年にアトランタ・ブレーブスとフィラデルフィア・フィリーズのマイナーリーグでプレーした後、オリックス・バファローズに入団。ただ、2019年6月に薬物違反で1年間の出場停止となり、契約を解除された。オリックスでは、29試合で打率.206と出塁率.288、4本塁打に終わった。2020~21年のボストン・レッドソックスを経て、今年1月にナショナルズとマイナーリーグ契約。昇格までに、AAAで96試合に出場し、打率.286と出塁率.341、20本塁打を記録した。

 ようやく巡ってきた機会を、メネセスは生かしている。ソトとベルがそれぞれ定位置としていたライトと一塁を守りながら、19試合で打率.324と出塁率.351、6本塁打。2試合目と14試合目以外は、どの試合もヒットを打ち、3試合連続ホームランも記録している。

 今月、最も多くのホームランを打っているのは、7本の5人だ。メネセスは、彼らより1本少ないだけ。アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)らと並び、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)やブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)を1本上回る。ちなみに、ソトとベルは、2人合わせて今月5本。移籍後は2本ずつだ。

 ここから、急激に調子を落とすことなくシーズンを終えれば、メネセスは、ナショナルズからメジャーリーグ契約を提示されるのではないだろうか。年齢からすると、次代の構想には入れにくいが、ナショナルズは、年俸が高くなく、再建が完了するまで――次代を担う選手が台頭するまで――の間、レギュラーを務めることができる選手を必要としている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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