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国際ドラフトは導入されず、QOは継続。QOによって契約が遅れるFAも

宇根夏樹ベースボール・ライター
マイケル・コンフォート(左)とノア・シンダーガード Sep 29, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月25日、選手会は、インターナショナル・ドラフト(国際ドラフト)について、MLB機構の最終案を却下した、と発表した。

 昨オフ、ロックアウトを経て、労使協定は締結したものの、国際ドラフトは合意に至らず、交渉期限を7月25日まで延長した。

 国際ドラフトを導入する場合は、それと引き換えに、FAに対するクオリファイング・オファー(QO)の制度を廃止することになっていた。従って、QOは、今後も継続される。

 これまでにQOを提示されたFAは、延べ110人に上る。そのうち、QOを受け入れたのは、昨オフのブランドン・ベルト(サンフランシスコ・ジャイアンツ)が11人目だ。(「クオリファイング・オファーを受け入れた選手は、次のオフに大型契約を得たのか。今オフのQO受諾は1人」)。

 QOを断った99人のなかには、契約が遅れた選手もいる。例えば、2018年のオフにFAとなった、クレイグ・キンブレル(現ロサンゼルス・ドジャース)とダラス・カイクルがそうだ。2人とも、新たな契約を得たのは、翌年の6月7日だった。

 2019年のドラフトは、6月3日~5日に行われた。ドラフトが終われば、QOを拒否した選手と契約を交わしても、ドラフト指名権を失わずに済む。なお、昨オフのライセル・イグレシアス(ロサンゼルス・エンジェルス)のような、QO拒否→再契約のケースは、補償が発生しない。

 昨オフにニューヨーク・メッツからのQOを断ったマイケル・コンフォートの場合、現在もFAのままでいるのは、1月に右肩を痛めて4月に手術を受け、今シーズンはプレーできそうにないことが大きな理由だ。けれども、こちらも、今年のドラフト(7月17日~19日)が終わったことにより、動きが出てきている。ニューヨーク・ポストのジョエル・シャーマンによると、コンフォートの代理人であるスコット・ボラスは、4球団から連絡を受けていて、そのなかにはトロント・ブルージェイズが含まれているという。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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