ヤンキースがこの選手をエンジェルスから呼び戻した意図はどこにあるのか
7月14日、ニューヨーク・ヤンキースは、金銭あるいはPTBNL(後日決定選手)と交換に、ロサンゼルス・エンジェルスからタイラー・ウェイドを獲得した。
呼び戻した、と言ったほうがいいかもしれない。ウェイドは、2013年のドラフトで、ヤンキースから4巡目・全体134位指名を受け、プロ入りした。
昨年11月、ヤンキースは、ウェイドをエンジェルスへ放出した。この時も、金銭もしくはPTBNLとの交換だった。それについては、「エンジェルスの新たな遊撃手は、他球団が見切りをつけたユーティリティ!?」で書いた。その後も選手は動いていないので、ヤンキースは、ウェイドと交換にエンジェルスから金銭を得たと思われる。前回も今回も、ウェイドがDFAとされた――40人ロースターから外された――後のトレードだ。
ウェイドは、一塁以外の内野3ポジションと、外野3ポジションを守る。打撃は期待できない。通算6シーズンのホームランは二桁に届かず、出塁率は.300未満だ。今シーズン、エンジェルスでは67試合に出場し、1本塁打と出塁率.272を記録した。また、昨シーズンは17盗塁、今シーズンは8盗塁を決めているが、成功率は高くない。それぞれ、73.9%と61.5%だ。
ヤンキースには、マーウィン・ゴンザレスがいる。こちらも、内外野を守るユーティリティ・プレーヤーだ。今シーズンは、遊撃と三塁、レフトとライトの他に、1イニングずつ、一塁と二塁の守備にもついている。48試合でホームランは3本、出塁率は.308ながら、ウェイドよりは上だ。ヒューストン・アストロズ時代には、ユーティリティの「レギュラー」としてプレーし、2017年は23本塁打と出塁率.377を記録した。
ヤンキースにおけるウェイドの立場は、ユーティリティのバックアップといったところだろう。ヤンキースは、ゴンザレスの離脱に備えた、というわけだ。故障はもちろん、新型コロナウイルスに感染することもあり得る。これから、ウェイドは、ヤンキース傘下のAAAでプレーする。
ウェイドがメジャーデビューした2017年以降、ヤンキースはポストシーズンに毎年進出している。だが、ウェイドのポストシーズン出場は、2020年だけだ。4試合に途中出場し、1打席に立って四球で出塁した。ヤンキースは、今年もポストシーズンに進むだろうが、ゴンザレスがいる限り、ウェイドがロースター入りする可能性は低い。
なお、ウェイドについては、先月上旬にこちらでも書いた。