ロサンゼルス・エンジェルスは、金銭あるいはPTBNL(後日決定選手)と交換に、ニューヨーク・ヤンキースからタイラー・ウェイドを獲得した。

 ウェイドは、2017年にメジャーデビューし、これまで、二塁と遊撃と三塁に、外野3ポジションを守ってきた。2017~20年の4シーズンは、いずれも出場55試合未満ながら、今シーズンは103試合に出場。出塁率.354と、ヤンキースでは最多の17盗塁を記録した。ただ、打席は150に届かず、ホームランはなかった。通算本塁打も6本に過ぎない。

 スピードはあるが、パワーに欠け、内外野を守るユーティリティ・プレーヤー。ウェイドの特徴を短くまとめると、こうなる。マイナーリーグでは、シーズン25盗塁以上が3度。マイナーリーグとメジャーリーグを合わせても、ホームランが二桁に達した年は皆無だ。トレードの前に、ウェイドはヤンキースの40人ロースターから外された。年齢は27歳だ。トレードの翌日に、誕生日を迎えた。

 現時点でエンジェルスに在籍している選手のなかから、遊撃手を決めるとすれば、ウェイドもその候補の一人だろう。

 今シーズン、エンジェルスでは、4人が遊撃を守った。ホゼ・イグレシアスが961.2イニング、ルイス・レンヒーフォが227.0イニング、デビッド・フレッチャーが145.0イニング、ジャック・メイフィールドは88.0イニングだ。9月に解雇されたイグレシアスは、その後、ボストン・レッドソックスでプレーし、現在はFAになっている。

 フレッチャーは二塁のレギュラーなので、来シーズンの遊撃手の候補は、レンヒーフォとメイフィールド、ウェイドに、今シーズンはウェイドとチームメイトだったアンドルー・ベラスケスの4人となる。ベラスケスは、今月初旬に移籍。ヤンキースがウェーバーにかけたところを、エンジェルスが獲得した。

 ウェイドだけでなく、他の3人も、レギュラーとしては物足りない。今シーズン、レンヒーフォは54試合に出場し、出塁率.246に終わった。メイフィールドはシアトル・マリナーズとエンジェルスでプレーし、エンジェルスの75試合でホームランを10本打ったものの(マリナーズの11試合は0本)、こちらも出塁率は.280未満だった。

筆者作成
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 もちろん、ここから、誰かを手に入れることはできる。カルロス・コレイアコリー・シーガーをはじめ、今オフのFA市場には、遊撃手が揃っている。だが、エンジェルスの補強ポイントのなかで、遊撃手の優先順位は高くない。先発投手とクローザーのほうが上だ。ノア・シンダーガードを迎え入れても、ローテーションにはまだ不安が残る。ブルペンに加わったエアロン・ループは、FAになったライセル・イグレシアスに代わるクローザーではなく、セットアッパーだろう。それについては「エンジェルスが防御率0点台の救援投手と契約。これにより、クローザーのイグレシアスと再契約の可能性は…」で書いた。

 一方、マイク・トラウトアンソニー・レンドーンが、実力あるいは年俸どおりの働きをすれば、打線において大谷翔平が孤立することはなくなる。また、トラウトと外野トリオを形成するブランドン・マーシュジョー・アデルの2人は、成長が期待できる(実際にそうなれば、ジャスティン・アップトンは控えに回る)。もし、遊撃手があまり打てなくても、打線全体としては問題にならないはずだ。誰かを加えるにしても、J.イグレシアスを含め、安く契約できる遊撃手ではないだろうか。

 大物の遊撃手と契約するのに資金を費やし、投手陣が整備できないようだと、10月に「エンジェルスが強くなれない理由は、オーナーの「偏愛」にあり!?」で書いたような、これまでの繰り返しとなり、ポストシーズンにたどり着けない歳月が、さらに延びかねない。