ロサンゼルス・エンジェルスは、6月9日に連敗を14で止めてからも、浮上することができていない。以降の20試合(6月9日~29日)は10勝10敗。そして、7月1日~3日は、ヒューストン・アストロズにスウィープされた。

 レギュラーシーズンのちょうど半分を終え、借金は今シーズン最多の7に膨らみ、地区首位のアストロズには15.5ゲーム差をつけられている。ワイルドカード・レースでも、3位に位置するタンパベイ・レイズとの差は7ゲームだ。ミラクルとまでは言わないが、よほどのことがない限り、2014年以来のポストシーズン進出は、今秋も果たせそうにない。

 また、今オフに大谷翔平と延長契約を交わしても、エンジェルスが来年のポストシーズンにたどり着けるかどうかには、疑問が残る。

 まず、大谷は、今シーズンもエンジェルスでプレーしているので、今シーズンと来シーズンを比べた場合、チームのプラス要素にはならない(いなくなれば、大きなマイナス要素だ)。一方、大谷とともにローテーションを構成している先発投手のうち、ノア・シンダーガードマイケル・ロレンゼンは、今オフにFAになる。エンジェルスは、ローテーションの再編が必要だ。彼らを呼び戻すこともできなくはないが、それでは、今シーズンと変わらない。ここまでの防御率は、シンダーガードが3.86、ロレンゼンは4.94だ(大谷は2.68)。大谷と二本柱、あるいは三本柱を形成するには至っていない。

 昨オフのFA市場に出て、エンジェルスを含む数球団が手に入れようとしている、と報じられた先発投手は、誰一人としてエンジェルスに入団しなかった。昨年12月に「エンジェルスが「エース級の投手」を手に入れられない理由は「大谷翔平」にあり!?」で書いたことが当たっているか外れているかはさておき、今オフも、同じことが繰り返される可能性はある。ちなみに、昨シーズンのシンダーガードは2登板しかしておらず、ロレンゼンはリリーフとして投げていたので、彼らも昨オフのFA市場に出ていたが、ここには該当しない。

 他球団よりも大枚を積めば、エース級もしくは2番手クラスの先発投手を入手できるかもしれないが、エンジェルスは、マイク・トラウトアンソニー・レンドーンをはじめ、何人かの選手と複数年の契約を交わしている。そこに大谷が加わると、FAに高額の契約を提示する余裕は――チームの年俸総額が跳ね上がり、贅沢税を課されても構わない、というなら別だが――ほとんどなくなる。

 エンジェルスとしては、大谷をトレードで放出するのも一策だろう。交換に、大きな見返りを得られることは間違いない。大谷は、来シーズンの終了後にFAとなる。この夏のトレード市場は、売り時の一つだ。保有できる期間が長いほど、高く売ることができる。

 もっとも、こちらも、そう簡単な話ではない。数年を費やし、再建を図るつもりなら、大谷の交換に得るのは「原石」かそれに近い選手でもいい。けれども、エンジェルスにはトラウトがいる。12年4億2650万ドルの契約は2030年まで続くが、現在の年齢は30歳だ。来月には、31歳の誕生日を迎える。手に入れるのが「原石」では、彼らがメジャーリーグで活躍する頃、トラウトの全盛期は過ぎていることもあり得る。それに対し、才能に磨きがかかり、すでにメジャーリーグで活躍し始めていたり、メジャーデビューがそう遠くないなかったりする選手は、大谷と交換であっても、他球団はなかなか手放したがらないはずだ。

 であれば、大谷だけでなくトラウトも放出し、今秋や来秋よりももっと先、数年後のポストシーズン進出をめざすというのはどうだろうか。例えば、2人と交換に得た選手のうちの数人――全員ということはまずない――が3~4年後に台頭した場合、現在のエンジェルスにいる、リード・デトマーズパトリック・サンドバルブランドン・マーシュジョー・アデルらは、その時点でもまだ20代だ。

 大谷とトラウトをどちらも放出すれば、エンジェルスは、しばらく低迷するに違いない。だが、ここから起こり得る最悪のシナリオは、2人を擁しながら、ポストシーズンを逃し続けることだ。

 なお、トラウトの契約は、来シーズンから数えて、8年2億8360万ドルが残っている。エンジェルスがトレードを成立させるには、そのいくらかを負担しなければならないだろう。