監督が選手に「全力疾走するな」。この減速指示はチームを加速させるのか
シカゴ・ホワイトソックスのトニー・ラルーサ監督は、ルーティン・アウトの場合、走るスピードを落とすよう、選手に言っているという。シカゴ・サン・タイムズのマーク・ゴンザレスらが、ラルーサ監督のコメントとして、そう報じている。
アウトになることがはっきりしている打球なら、全力疾走するな、ということだ。
この指示は、怪我を防ぐためだ。全員に対してではなく、アンドルー・ボーン、ホゼ・アブレイユ、ティム・アンダーソン、AJ・ポロック、ルイス・ロバートの5人に言っているという。ホワイトソックスでは、故障者が続出している。現時点では、投手を含めずに、イーロイ・ヒメネス、アダム・エンゲル、ダニー・メンディック、ヨアン・モンカーダ、ヤズマニ・グランダルの5人が故障者リストに入っている。また、指示を受けている5人中、30歳以上はアブレイユとポロックの2人だが、アブレイユ以外の4人は、いずれも今シーズン、故障者リストに入った期間がある。
ラルーサ監督がこの指示を記者たちに明かしたのは、怠慢プレーと看做されないようにするのが目的だろう。もしかすると、半月前に、ホーム・ゲームで観客の間から、監督の解雇を求める合唱が起きたことも、記者に説明した理由の一つかもしれない。報道により、ファンに全力疾走しない意図を知ってもらい、あらかじめ、批判を封じようというわけだ。解雇を求める声については、「ジラルディとマッドンに続き、またしても「ワールドシリーズ優勝監督」が解雇される!?」で書いた。
過去2年とも、ホワイトソックスはポストシーズンに進出している。昨年は93勝を挙げ、13年ぶりとなる地区優勝を果たした。けれども、今シーズンは波に乗れず、ここまでは勝率5割前後をさまよっている。ア・リーグ中地区に独走しているチームはなく、ここから巻き返すことは可能だが、故障者がさらに相次げば、それは難しくなる。