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大谷翔平の前に、MLBで「ノーヒッターを9回に阻止した」NPB経験者たち

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平/捕手はウィル・スミス Jun 15, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月15日、タイラー・アンダーソン(ロサンゼルス・ドジャース)は、ノーヒッターまで2アウトに迫った。それを阻んだのは、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)だ。9回表、1死走者なしの場面で、ライトに三塁打――アンダーソンからの三塁打は通算3本目――を打った。ダイブしたムーキー・ベッツのグラブは、打球とかなり離れていた。ダイブしなければ、二塁打だったかもしれないが、ヒットになっていたことに変わりはない。

 9回にノーヒッターを阻止したNPB経験者は、大谷が最初ではない。1900年以降に限っても、2人が見つかった。

 1992年に近鉄バファローズで7試合に出場したビリー・ビーン――マネー・ボールのビリー・ビーンとは別人――は、翌年9月29日に、9回裏、1死走者なしの場面で代打に起用され、ティム・ピューの投球をセンターへ弾き返した。遊撃手がダイブしたが、届かなかった。

 2014年にオリックス・バファローズで出場21試合のジョーイ・バトラーも、その翌年にカルロス・カラスコ(当時クリーブランド・インディアンズ/現ニューヨーク・メッツ)ノーヒッターを阻んだ。7月1日の9回裏、2死からのヒットだ。ラインドライブの打球は、ジャンプした二塁手のグラブを越えていった。その前の四球と死球(と内野ゴロ)により、一塁と三塁に走者がいたため、バトラーは、カラスコの完封も潰えさせた。カラスコは、ここでマウンドを降りた。

 なお、MLBで9回にノーヒッターを阻んだ後、NPBでプレーした選手は、ここには含まなかった。こちらは、もう少し多い。例えば、2020年に阪神タイガースで17本塁打のジャスティン・ボーアや、今シーズン、福岡ソフトバンク・ホークスに在籍しているフレディ・ガルビスもそうだ。ボーアは、2015年5月17日の試合で、ノーヒッターまで1アウトのシェルビー・ミラー(当時アトランタ・ブレーブス/現サンフランシスコ・ジャイアンツ)から、ヒットを打った。ガルビスは、2019年4月4日に、9回表の先頭打者としてノーヒッターを阻止した。それまでは、3投手が被安打ゼロを続けていた。

 ちなみに、9回ではないものの、北海道日本ハム・ファイターズ時代の大谷は、2014年5月10日に、あと6アウトに迫ったブランドン・ディクソンのノーヒッターを阻んでいる。8回表、無死一塁の場面で代打として登場し、ヒットを打った。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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