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7年前にサイ・ヤング賞の投手が引退。その一方で、13年前に受賞した投手は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジェイク・アリエタ Nov 1, 2016(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4月18日、ジェイク・アリエタが引退を表明した。バースツール・スポーツのポッドキャスト「パードン・マイ・テイク」に出演し、「書類にサインはしていないけれど、もう終わりさ。ゲームから離れる時がきた」と語った。

 アリエタは、2015年にシカゴ・カブスでサイ・ヤング賞を受賞し、その翌年は「山羊の呪い」を解くのに貢献した。ワールドシリーズでは、第2戦と第6戦に先発登板。どちらも5.2イニングを投げて2失点以下に抑え、2勝を挙げた。現在の年齢は36歳。最後の登板は、昨シーズンの9月19日だ。その直後に、サンディエゴ・パドレスから解雇された。

 一方、アリエタの6年前にサイ・ヤング賞を手にし、今もなお、投げ続けている投手もいる。2009年にカンザスシティ・ロイヤルズで受賞した、ザック・グレインキーがそうだ。こちらは、現在38歳。12年ぶりにロイヤルズへ戻った今シーズンは、開幕投手を務め、ここまでの2登板で防御率2.45を記録している。

 11.0イニングを投げて奪三振1――33アウト中1アウト――は少し気になるものの、三振を奪うことができていないのか、打たせて仕留めようとしているのかは、まだ判断しかねる。サイ・ヤング賞に選ばれた当時、平均95マイル近かった4シームの球速は下降し、ここ数年は平均90マイルに達していないが、グレインキーは、4シームの他に、チェンジアップ、カーブ、スライダー、シンカーを投げ、時折、50マイル台のイーファス・ピッチも織り交ぜる。

 ちなみに、グレインキーの開幕投手は、2010年(ロイヤルズ)、2016~17年と2019年(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)、2021年(ヒューストン・アストロズ)に続き、今シーズンが6度目だ。MLB.comのサラ・ラングスとイライアス・スポーツ・ビューローによると、12年後に同じチームで開幕投手――2010年と2022年のロイヤルズ――は、史上最長のギャップだという。それまでは、バート・ブライレブンの11年後が最も離れていた。ブライレブンは、1972~76年にミネソタ・ツインズで開幕投手を務めた後、1987年にも、ツインズの先発投手として開幕戦に登板した。

 なお、サイ・ヤング賞を受賞したことのある現役投手の最年長は、グレインキーではない。2011年と2019年に受賞のジャスティン・バーランダー(現アストロズ)は、グレインキーの1歳上だ。今シーズン、バーランダーはここまで2試合に投げ、計13.0イニングで15三振を奪い、1点しか取られていない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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