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鈴木誠也が抜けた広島東洋のように「ポスティングで選手を手放した球団」の順位は前年より下がるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
左から、筒香嘉智、青木宣親/、鈴木誠也 MARCH 8, 2017(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 昨シーズンまで、鈴木誠也は広島東洋カープにいた。今シーズンからは、シカゴ・カブスでプレーする。ポスティング・システムを利用し、広島東洋からカブスへ移籍した。

 鈴木の前に、ポスティングによって日本プロ野球の球団からメジャーリーグの球団へ移った選手は、21人を数える。彼らが抜けた球団のうち、8球団の順位はその前年より下がり、6球団の順位は前年より上がった。6球団の順位は、前年と変わらず。大阪近鉄バファローズは、中村紀洋がロサンゼルス・ドジャースへ移籍する直前の2004年が、球団のラスト・シーズンとなった。

筆者作成
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 選手を手放したことと、その前後の順位の上下に、相関関係は見られない。シーズンの勝率も、前年よりダウンが11球団、アップは9球団だ。半数ずつに近い。

 もっとも、退団した選手がその球団においてどんな役割を果たしていたのかは、それぞれ異なり、前年の順位も、球団ごとに違う。前年に1位だった球団の順位は上がりようがなく、6位だった球団の順位は下がりようがない。

 ちなみに、前年が4位か5位の6球団――大阪近鉄を除く。前年6位はなし――の順位は、同じかアップだ。2016年の広島東洋は、前田健太(現ミネソタ・ツインズ)がいなくなったにもかかわらず、前年の4位から浮上し、リーグ優勝を飾った。2015年のクリス・ジョンソン、前田、黒田博樹に代わり、2016年はジョンソン、野村祐輔、黒田がローテーションの三本柱を形成した。

 昨シーズンの広島東洋も、2015年と同じく、4位に位置した。ただ、昨シーズン、鈴木は38本のホームランを打ち、この本数は、広島東洋の全本塁打の30.9%(38/123)を占めた。この割合は、極めて高い。例えば、2006年に32本塁打の岩村明憲は、東京ヤクルト・スワローズの19.9%(32/161)、2019年に29本塁打の筒香嘉智(現ピッツバーグ・パイレーツ)は、横浜DeNAベイスターズの17.8%(29/163)だった。

 昨シーズン、この割合が25%を超えた選手は、鈴木と村上宗隆(東京ヤクルト)しかいなかった。村上の本塁打は、東京ヤクルトの142本塁打中39本なので、割合は27.5%だ。

 なお、日本プロ野球からメジャーリーグへ移った野手のパワーについては、こちらで書いた。

「鈴木誠也もそうなるのか。日本人野手のメジャーリーグ1年目は、ほとんどがパワーダウン。例外だったのは…」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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