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盗塁王を「獲得していない」選手の通算盗塁ランキング。200盗塁以上の3分の1はタイトルなし

宇根夏樹ベースボール・ライター
石毛宏典 MARCH 27, 2009(写真:アフロスポーツ)

 通算200盗塁以上の78人中、3分の2の52人は盗塁王を獲得しているが、あと3分の1の26人は盗塁王になっていない。2020年のシーズンが終わった時点では、荻野貴司(千葉ロッテ・マリーンズ)も後者の一人だった。通算220盗塁ながら、タイトルは皆無。盗塁王との差が一桁のシーズンもなかった。昨年、荻野は24盗塁を記録し、他3人とタイトルを分け合った(「パ・リーグの盗塁王4人の「盗塁成功率」には10%以上の差あり」)。

筆者作成
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 26人のうち、古川清蔵島田誠張本勲の3人は、通算300盗塁以上を記録している。盗塁王を獲得した選手も含む、全体の通算盗塁ランキングでは、370盗塁の古川が12位、352盗塁の島田が17位、319盗塁の張本は26位に位置する。

 古川は、17シーズン(1941~43、46~59年)とも、盗塁王に15以上の差をつけられた。島田と張本も、その差が10未満は1度きり。島田は、1979年の55盗塁が福本豊と5差。張本は、1963年の41盗塁が広瀬叔功と4差だった。順位は、どちらもパ・リーグ2位だ。福本の通算1065盗塁と広瀬の通算596盗塁は、全体1位と2位。福本の盗塁王13度(1970~82年)は、誰よりも多く、広瀬の盗塁王5度(1961~65年)も、パ・リーグでは福本に次ぐ。

 また、宮崎剛島野育夫簑田浩二の3人は、奇しくも同数の61盗塁を記録したシーズンがある。それぞれ、1950年、1973年、1978年だ。シーズン60盗塁上の延べ32人中、その年に盗塁王を獲得できなかったのは、他には、1983年に70盗塁の高橋慶彦だけ。この年のセ・リーグでは、「青い稲妻」と呼ばれた松本匡史が、76盗塁を記録した。高橋は、盗塁王を3度(1979~80、85年)獲得し、通算盗塁は477。松本は、盗塁王が2度(1982~83年)、通算盗塁は342だ。

 一方、盗塁王とシーズン30盗塁以上のどちらもなしで通算200盗塁以上は、石毛宏典(243盗塁)、山本浩司/浩二(231盗塁)、基満男(217盗塁)、白仁天(212盗塁)、白石敏男/勝巳(210盗塁)の5人。2021年に盗塁王を獲得した荻野(244盗塁)も、30盗塁以上のシーズンはなく、今のところ、2019年の28盗塁が最も多い。荻野の通算盗塁は、昨年、石毛を上回った。シーズン30盗塁以上なしの選手では、荻野の通算盗塁が最も多い。

 なお、盗塁王を獲得していない現役選手で、通算盗塁が最も多いのは、158盗塁の坂本勇人(読売ジャイアンツ)だ。

 通算250本以上のホームランを打ちながら、本塁打王を獲得していない選手については、1年前にこちらで書いた。現役選手の本数は増え、順位も変動しているが、顔ぶれは変わっていない。

「本塁打王を「獲得していない」選手の通算本塁打ランキング。トップ3は500本以上、中田翔は29位」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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