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今年の初夢は、大谷翔平の2年連続MVP!? 最大のライバルとなりそうなのは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)Sep 26, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 昨年、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は、ア・リーグのMVPに選ばれた。今年も選出されれば、2012~13年のミゲル・カブレラ(デトロイト・タイガース)に続き、延べ15人目(14人目)の連続受賞となる。バリー・ボンズは2度。その1度目は、間に移籍を挟む。1992年のオフにピッツバーグ・パイレーツからFAとなり、サンフランシスコ・ジャイアンツへ移った。ちなみに、この時にボンズが得た6年4375万ドルの契約は、当時としては史上最高の総額だった。2度目は、シーズン73本塁打の2001年から、4年続けて選出された。

筆者作成
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 昨年ほどの活躍でなくても、大谷が今年もMVPを受賞する可能性は、大いにあるはずだ。例えば、OPSと防御率のどちらもリーグ・トップ10にランクインした場合などだ。大谷のような二刀流の選手は、他には誰もいない。今オフ、エンジェルスに入団したマイケル・ロレンゼンも二刀流だが、大谷とはレベルが違う。投手としては、ローテーションに加わるかもしれないが、野手としては、控えの外野手、それも2番手といったところだ。エンジェルスには4人の外野手、マイク・トラウトブランドン・マーシュジョー・アデルジャスティン・アップトンがいる。

 大谷が好成績を残したとして、最大のライバルとなりそうなのは、チームメイトのトラウトだろう。2012年から2020年まで、トラウトは9年続けてMVP投票の5位以内に位置した。そのうち、2014年、2016年、2019年は受賞。2012~13年、2015年、2018年は2位だ。毎年繰り返されるハイレベルなパフォーマンスと成績から、それがわずかに下がっただけで、トラウトにしてはそれほどでもないシーズンだと感じてしまうのか、票が伸びないこともあったような気がする。けれども、今年は違う。昨年の長期離脱から復活を遂げ、かつてのようなプレーをした場合、ブランクがあるだけに、印象は強くなる。記者からの票も、集まりやすいはずだ。

 ただ、トラウトは、定位置としてきたセンターのポジションをマーシュに譲り、レフトへ移るかもしれない。そうなると、守備の貢献度は、低く評価されてもおかしくない。二刀流の大谷に対抗するには、要となるセンターラインを守る必要があるのではないだろうか。昨年、大谷を凌いで本塁打王のタイトルを獲得した2人のうち、ブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)は一塁手なので、大谷を大きく上回る打撃成績を残さない限り、大谷を抑えてMVPを手にするのは難しそうだ。サルバドール・ペレス(カンザスシティ・ロイヤルズ)のポジションは、センターラインの捕手だが、こちらは打撃のクオリティに難がある。200打席以上のシーズンに出塁率.330以上は皆無。打点と合わせて二冠王の昨年も、打率は.273ながら、出塁率は.316に過ぎなかった。MVP投票の結果は、7位だった。

 トラウト以外のライバルには、ワンダー・フランコ(タンパベイ・レイズ)を挙げておきたい。数ヵ月前に、11年1億8200万ドルの延長契約を手にした遊撃手だ。こちらは、大型契約を安いと思わせるプレーをいきなり披露するかもしれず、その場合、21歳という年齢が強烈なインパクトをもたらす。フランコの契約については、「6月にメジャーデビューした20歳の選手が「11年1億8200万ドル」の契約を得る。それでも安い!?」で書いた。

 いずれにせよ、大谷とトラウトが揃ってMVPの候補に挙がる活躍をすれば、どちらが受賞するにしても、あるいは2人とも受賞できなくても、エンジェルスが2014年以来のポストシーズンにたどり着く可能性は高まる。一方、この2人が揃い踏みしないと、エンジェルスはまたしてもポストシーズン進出を逃すことになりかねない。

 なお、2年連続MVPの可能性があるのは、大谷だけではない。昨年のナ・リーグMVP、ブライス・ハーパー(フィラデルフィア・フィリーズ)もそうだ。ワシントン・ナショナルズ時代の2015年にも、ハーパーはMVPに選ばれている。その直後の2016年は、ホームランが前年から18本減り(42本→24本)、出塁率も.460→.373と大幅なダウン。MVP投票では、0票に終わった。ハーパーも、フィリーズが2011年を最後に遠ざかるポストシーズンへ進むのに、その活躍が不可欠な選手だ。

 昨年の初夢は、こちら。

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ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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