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各球団最後の「20-20」達成者。オリックスはイチローが最後。「30-30」は5球団が不在

宇根夏樹ベースボール・ライター
タフィー・ローズ MARCH 28, 2009(写真:アフロスポーツ)

 日本プロ野球で「30-30」を達成した12人を、そのシーズンにプレーした球団ごとに分けると、埼玉西武ライオンズが3人、福岡ソフトバンク・ホークスと広島東洋カープがそれぞれ2人、あとは5球団に1人ずつとなる(球団は現名称)。1950年に39本塁打&34盗塁の岩本義行は松竹ロビンスでプレーしていたので、現在の12球団のうち、達成者ありは7球団。あとの5球団は皆無だ。

 1シーズンに20本塁打以上と20盗塁以上の「20-20」は、東北楽天ゴールデンイーグルス(2005年~)以外の11球団に達成者がいる(「30-30」を含む)。東北楽天で「20-20」に最も近づいたのは、2018年の田中和基だ。18本塁打と21盗塁を記録し、新人王を受賞した。

 ちなみに、大阪近鉄バファローズで最後に「20-20」を達成したのは、1997年(近鉄)のタフィー・ローズだ。22本のホームランを打ち、22盗塁を決めた。もともと、ローズはパワーよりもスピードが秀でていた。ヒューストン・アストロズ傘下のAでプレーした1988年は、132試合で65盗塁を記録したのに対し、ホームランは1本しか打たなかった。

 各球団で最後に「20-20」を達成した選手(と「30-30」の達成者)は、以下のとおり。

筆者作成
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 セ・リーグの3球団とパ・リーグの3球団は、ここ10年に達成者が出ている。東京ヤクルト・スワローズの山田哲人は4度(2015~16、18~19年)。いずれも「30-30」だ。福岡ソフトバンクの柳田悠岐は2度(2015、18年)。こちらは「30-30」と「20-20」が1度ずつだ。広島東洋では、ここ10年に2人が「20-20」を達成している。直近は、2019年に鈴木誠也が28本塁打と25盗塁。その前は、2016年に丸佳浩(現・読売ジャイアンツ)が20本塁打と23盗塁を記録した。

 丸を含む7人以外に「20-20」を達成している現役選手は、松田宣浩(福岡ソフトバンク)と中島宏之(読売)の2人だ。松田は2011年に25本塁打と27盗塁。中島は埼玉西武時代の2008~09年(当時は裕之)に、それぞれ、21本塁打と25盗塁、22本塁打と20盗塁を記録した。

 一方、セ・リーグの3球団とパ・リーグの2球団は、「20-20」の達成者が20年以上途絶えている。1969年の高木守道が最後の中日ドラゴンズは、ブランクが半世紀以上続いているだけでなく、見落としがなければ、その前に達成した選手もいない。

 また、オリックス・バファローズは1995年(ブルーウェーブ)のイチローが最後だ。イチローの「20-20」は、メジャーリーグ時代を含めても、この年のみ。メジャーリーグで「20-20」を達成した日本人選手は、2021年に46本塁打と26盗塁の大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)しかいない。北海道日本ハム・ファイターズ時代の大谷は、2016年の22本塁打と7盗塁が、どちらもシーズン最多だった。

 なお、「30-30」に打率3割以上を加えた「トリプルスリー」については、こちらで考察した。

「「トリプルスリー」は「打率3割未満の30-30」より上なのか!?」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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