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埼玉西武が「菊池雄星のポスティングで得た金」を使い、菊池と契約するのはあり!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
菊池雄星 Aug 31, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 菊池雄星は、シアトル・マリナーズからFAになった。マリナーズが4年6600万ドルの球団オプションを破棄したことで、1年1300万ドルの選手オプションが発生したが、菊池はそれを行使しなかった。

 これにより、埼玉西武ライオンズは、ポスティング費として、マリナーズから815万ドルを得ることが確定した。

 菊池の契約金は600万ドル、2019~21年の年俸は800万ドルと1400万ドルと1500万ドルなので、総額は4300万ドルだ。ポスティング費は、最初の2500万ドルの20%+次の2500万ドルの17.5%+5000万ドルを超える分の15%、と定められている。菊池の場合、2500万ドル×20%=500万ドルと1800万ドル×17.5%=315万ドルの合計がポスティング費となる。

 この815万ドルが、どの時点でマリナーズから埼玉西武へ支払われるのか、埼玉西武がどう使おうとしているのか(あるいはすでに使ったのか)は、どちらもわからない。だが、菊池を呼び戻そうと考えているのであれば、契約するのに十分な金額ではないだろうか。1ドル=100円なら8億1500万円、1ドル=110円なら8億9650万円、1ドル=115円であれば9億3725万円になる。

 菊池をマリナーズへ譲って得た金を、菊池と契約するのに使うのは、奇妙な感じがするかもしれないが、問題はないはずだ。

 ただ、埼玉西武の思惑もさることながら、菊池が日本へ戻るつもりなのかどうかも、はっきりしていない。もしかすると、来シーズンもメジャーリーグで投げ続ける気でいて、年俸や契約の総額は関係なく、マリナーズよりもローテーション入りのチャンスが高いチームと契約したいと思っているのかもしれない。今シーズンの終盤、チームがポストシーズン進出をめざしている状況において、菊池はローテーションから外された。残留した場合も、来シーズンのローテーションに入る可能性は低くなかったと思うが、やや不透明だ。あるいは、来シーズンの年俸は下がっても、総額では1300万ドルを上回る複数年契約を望んでいるということもあり得る。

 ちなみに、菊池が1年1300万ドルの選手オプションを行使していれば、それに契約金と2019~21年の年俸を合わせた総額は5600万ドルなので、埼玉西武が手にするポスティング費は、2500万ドル×20%=500万ドル、2500万ドル×17.5%=437万5000ドル、600万ドル×15%=90万ドルの合計、1027万5000ドルとなっていた。【追記:2022/3/24】ポスティング費は、この1027万5000ドルのまま変わらないとう説もあるが、今ひとつはっきりしない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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