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壁パンチで勝利の方程式が崩れる。球団初のワールドシリーズ優勝に暗雲!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
デビン・ウィリアムズ(ミルウォーキー・ブルワーズ)Sep 8, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月29日、ミルウォーキー・ブルワーズは、デビン・ウィリアムズを故障者リストに入れた。MLB.comのアダム・マッカルビーらによると、その3日前にブルワーズが地区優勝を決めた後、ウィリアムズは酒を飲み過ぎ、壁にパンチを入れて右手を骨折したという。

 ウィリアムズは、右のリリーフ投手だ。9月21日に27歳の誕生日を迎えた。2年前の夏にデビューし、「全打者の50%以上から三振を奪った投手たち。今年の新人王は100人中53人」で書いたとおり、昨シーズンは新人王を受賞した。今シーズンは、クローザーのジョシュ・ヘイダーにつなぐセットアッパーとして、58登板で計54.0イニングを投げ、奪三振率14.50と与四球率4.67、防御率2.50を記録している。地区優勝を決定した試合でも、8回表の1イニングを3人で終わらせ、ヘイダーにバトンを渡した。

 ウィリアムズの右手は、手術を要する。ディビジョン・シリーズだけでなく、ブルワーズがそこで勝ち上がった場合だが、次のリーグ・チャンピオンシップ・シリーズにも出場できないようだ。ワールドシリーズで投げられるかどうかも、現時点ではわからない。

 ブルワーズは、1969年のシアトル・パイロッツを含め、ワールドチャンピオンになったことがない。ワールドシリーズ進出も、1982年の1度きり。セントルイス・カーディナルスと対戦したこのシリーズ――当時のブルワーズはア・リーグのチームだった――は、3勝2敗として、先に王手をかけながら、第6戦と第7戦に敗れた。

 なお、ウィリアムズの故障者リスト入りに伴い、ブルワーズはAAAからコリン・レイを昇格させた。ウィリアムズに代わるセットアッパーではなく、ロングリリーバーとして起用される可能性が高い。今シーズンは、福岡ソフトバンク・ホークスで6試合に先発登板し、防御率2.03。AAAでも先発として7試合に投げ、防御率2.27を記録している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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