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全員揃うと、ヤンキースの打線はとんでもなくパワフル!? 3人の本塁打王と夏に加入した2人だけでなく…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョーイ・ギャロとアーロン・ジャッジ Aug 16, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ニューヨーク・ヤンキースには、本塁打王を獲得したことのある選手が3人いる。ジャンカルロ・スタントンはマイアミ・マーリンズ時代に2度。2014年と2017年に、37本と59本のホームランを打った。アーロン・ジャッジは2017年に52本、ルーク・ボイトは2020年に22本だ。前年は60試合の短縮シーズン。20本塁打に達した選手は、ボイト以外に誰もいなかった。

 この人数は、他のチームより多いものの、開幕前から増えてはいない。だが、8月を迎える前に、ヤンキースは2人のスラッガーをラインナップに加えた。テキサス・レンジャーズとシカゴ・カブスから、それぞれ、ジョーイ・ギャロアンソニー・リゾーを手に入れた。ギャロは2017~18年に2年連続40本以上、リゾーは2014~17年に4年続けて30本以上を記録している。

 ヤンキースには、2019年に30本塁打以上の選手も3人いる。グレイバー・トーレスは38本、ゲリー・サンチェスは34本、ルーグネッド・オドーアはレンジャーズで30本だ。サンチェスとオドーアは、その前にも30本以上のシーズンがあり、トーレスはメジャーデビューした2018年に24本のホームランを打った。

 ギャロとリゾーは、どちらも左打者だ。彼らよりも前からヤンキースにいた6人、スタントン、ジャッジ、ボイト、トーレス、サンチェス、オドーアのなかに、スイッチ・ヒッターはおらず、左打者はオドーアしかいない。ヤンキー・スタジアムは、左のパワー・ヒッターに有利な球場だ。また、8人の最年長は32歳のリゾー。どの選手も、「かつてのスラッガー」ではない。

 もっとも、この8人が並ぶスターティング・ラインナップは、まだ一度も実現していない。いつも、誰かしら離脱していて、8月8日に左手の親指を痛めたトーレスは、今も故障者リストに入っている。

 トーレスの復帰は9月になりそうだが、彼が戻ってくれば、8人の同時出場は可能だ。リゾーとボイトはどちらも一塁手ながら、リゾーが一塁を守ってボイトがDHに入り、スタントンがDHから外野に回ればいい。その場合の外野は、左から、ギャロ、ジャッジ、スタントンだ。実際、この5人は、すでにこういうポジションで同じ試合に出場している。ちなみに、スタッツ社によると、同じ試合に先発出場して外野トリオを形成した3人が、いずれもシーズン40本塁打以上の実績を持つのは、1964年にサンフランシスコ・ジャイアンツでプレーした、ウィリー・メイズウィリー・マッコビーデューク・スナイダーと、1998年のコロラド・ロッキーズに揃った、ダンテ・ビシェットエリス・バークスラリー・ウォーカーに続き、ギャロ、ジャッジ、スタントンが3組目だという。

 あとは、オドーアとトーレスが二遊間コンビか三遊間コンビを形成し、サンチェスがマスクをかぶる。残る1ポジション、三塁もしくは二塁は、DJ・ラメイヒュージオ・アーシェラだ。オドーアを外し、内野を左から、アーシェラ、トーレス、ラメイヒュー、リゾーとしたほうが、得点は増えるかもしれない。ラメイヒューとアーシェラもパワーレスではなく、2019年に20本以上のホームランを打っている。26本と21本だ。また、大ベテランの外野手であるブレット・ガードナーも、2019年に自己最多の28本塁打を記録している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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