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マスクの間違った使い方で、捕手が走者を進塁させてしまう

宇根夏樹ベースボール・ライター
左から,C.カサーリ、T.ロジャース、M.ヤストレムスキ Jul 21,2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月3日、球審を務めていたクリス・グッチオーネは、彼自身の目の前で、捕手のカート・カサーリ(サンフランシスコ・ジャイアンツ)が行った行為に対し、アリゾナ・ダイヤモンドバックスの一塁走者と二塁走者をそれぞれ進塁させた。

 ワンバウンドの投球を弾いたカサーリは、右手でマスクを外し、それをボールにかぶせた。上の写真と下のツイートからわかるように、ゴーリー・タイプではなく、昔からのスタンダードなマスクだ。この行為が、ルール違反と判定された。ちなみに、ゴーリー・タイプのマスクでも、ヘルメットでも、同じことをすれば違反になる。

 記録はエラー。「捕手のボーク」ではない。ボークが適用されるのは、投手がリリースする前にキャッチャーズ・ボックスから出た場合だ。

 滅多に起きないエラーだが、もちろん、初めてのことではない。前回は3年前。2018年5月1日に、クリスチャン・バスケス(ボストン・レッドソックス)がこのエラーを犯している。前々回は12年前。2009年7月11日に、タンパベイ・レイズのマイケル・ヘルナンデスが記録した。

 バスケスとヘルナンデスのエラーは、どちらも失点にはつながらなかった。だが、カサーリのエラーの直後に、ジョニー・クエイトは二塁打を打たれた。この時、二塁から生還したのは、投手のマディソン・バムガーナーだ。その前にカサーリがエラーを犯さず、バムガーナーが一塁走者のままなら、三塁で止まっていた可能性もある。ジャイアンツの失点は2ではなく、1だったかもしれない。

 なお、ジャイアンツのゲーブ・キャプラー監督は、12年前の試合に、ヘルナンデスのチームメイトとして出場していた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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