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大谷翔平は「本塁打王&三振王」の可能性あり。後半戦は三振が増え、トップとの差は一桁

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)Aug 2, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月2日を終え、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は、本塁打ランキングのトップに立っている。この日、ブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)はホームランを打ち、シーズン34本塁打としたが、大谷とはまだ3本の差がある。

 一方、三振のランキングでも、大谷は「上位」に位置する。奪三振ではなく、三振だ。8月2日に2三振を喫し、シーズン三振は126。これは、両リーグで5番目に多い。ア・リーグで大谷よりも多いのは、135三振のマット・チャップマン(オークランド・アスレティックス)と131三振のジョーイ・ギャロ(テキサス・レンジャーズ/ニューヨーク・ヤンキース)の2人だけだ。

 オールスター・ブレイクを迎えた時点でも、チャップマンとギャロは、ア・リーグの三振トップ2に位置していた。111三振と108三振だ。一方、大谷はリーグ5位タイの98三振。チャップマンより13三振少なかった。だが、前半戦の三振率28.6%(343打席)に対し、後半戦は40.6%(69打席)だ。後半戦のサンプル数は少ないものの、三振率は急激に上昇している。後半戦とほぼ同じサンプル数となる、直前の6月22日~7月11日における三振率は28.2%(71打席)だった。チャップマンとの差は、一桁に縮まっている。

 チャップマンの三振率は、前半戦が30.2%、後半戦は38.7%。ギャロは30.8%と41.8%だ。大谷と同じく、2人の三振率も上がっていて、なかでも、ギャロの後半戦の三振率は大谷のそれを上回る。このままいけば、大谷が彼ら(の両方)を追い抜くことはないかもしれない。ただ、現時点の差からすると、チャップマンとギャロが故障者リストに入った場合、最短の10日間で復帰しても、その間に大谷が1位になってもおかしくない。

 もっとも、三振が多くても、他のスタッツが悪くなければ、気にすることではないだろう。

 これまでの「本塁打王&三振王」は、ナ・リーグもア・リーグも、それぞれ20人前後を数える。歴代最多は、ベーブ・ルースだ。本塁打王を獲得した12シーズン中5シーズンは、三振もリーグ1位だった。そのうち、1918年を除く4シーズンは、四球もリーグ最多。1923年は130打点を挙げ、トリス・スピーカーとともに打点王も獲得し、MVPの前身に当たるリーグ・アウォードを受賞した。意外な気もするが、キャリアを通し、ルースがMVPを受賞したのは、このシーズンだけだ。

筆者作成
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 現在、大谷の48四球はリーグ・トップ10に入っておらず、1位のギャロとは29四球の差があるが、82打点はリーグ2位タイだ。1位のゲレーロJr.とは3打点しか違わず、打点王を獲得する可能性はある。

 ちなみに、2015年以降のア・リーグは、1年おきに「本塁打王&三振王」が現れている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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