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前・東京ヤクルトの遊撃手が3年ぶりにMLB復帰を果たし、前・読売の外野手とチームメイトに

宇根夏樹ベースボール・ライター
アルシデス・エスコバー(ワシントン・ナショナルズ)Jul 3, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月3日、ワシントン・ナショナルズは、金銭と交換に、カンザスティカンザスシティ・ロイヤルズからアルシデス・エスコバーを獲得した。この日、エスコバーはナショナルズの「7番・遊撃」として出場し、3打席目に通算1368本目のヒットを打った。

 エスコバーがメジャーリーグでヒットを記録するのは、2018年9月30日以来だ。その後は、メジャーリーグの試合にも出場していなかった。2019年はシカゴ・ホワイトソックス傘下のAAA、2020年は東京ヤクルト・スワローズでプレーし、今シーズンの開幕はFAのまま迎えた。ロイヤルズに入団したのは、5月に入ってから。AAAの35試合に出場し、打率.274と出塁率.311、5本塁打と二塁打7本、2盗塁を記録した。

 ロイヤルズがエスコバーと契約した理由は、はっきりとはわからない。功労者にプレーするチャンスを与えたということだろうか。2011年から2018年まで、エスコバーはロイヤルズでプレーした。なかでも、ワールドチャンピオンとなった2015年のポストシーズンは、1番打者として打率.329と出塁率.347。二塁打4本と三塁打3本に加え、ワールドシリーズ第1戦で先頭打者ランニング本塁打も記録した。リーグ・チャンピオンシップ・シリーズは、MVPに選ばれた。

 一方、ナショナルズがエスコバーを獲得したのは、遊撃を守る選手がいなくなったためだ。レギュラーのトレイ・ターナーと控えのジョディ・マーサーが、左手の中指と右の太腿をそれぞれ痛めた。7月1日は、それまで三塁を守っていたスターリング・カストロが遊撃へ移り、ジョシュ・ハリソンが二塁から三塁へ。そして、控え捕手のアレックス・アビーラが二塁の守備についた。翌日、ナショナルズはAAAからアンベルト・アルティアガを呼び寄せ、遊撃を守らせたが、穴埋めには不十分だと考えたのだろう、エスコバーを獲得し、アルティアガをロースターから外した。

 エスコバーが3年ぶりのメジャーリーグ復帰を果たした試合は、前・読売ジャイアンツのヘラルド・パーラが、ナショナルズの「6番・レフト」として出場した。昨シーズンは日本プロ野球でプレーした2人が、同じラインナップの6番と7番に並んだ。ちなみに、現在の年齢は、どちらも34歳だ。パーラは、2019年にナショナルズでワールドチャンピオンとなり、2020年は読売へ。今年2月にナショナルズと契約し、6月20日にAAAから昇格。「ベイビー・シャーク」も復活させた。

 エスコバーがナショナルズでプレーするのは、故障者が戻ってくるまでの短期間かもしれない。だが、遊撃を守れるのは強みだ。降格あるいは解雇となっても、またメジャーリーグでプレーする機会は、巡ってきそうな気がする。7月4日、エスコバーは3本のヒットを打った。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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