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23歳の内野手が「ベースボールIQ」の高いプレーを披露。将来像はやっぱりあの選手!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ニコ・ホーナー(シカゴ・カブス)Mar 23, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4月25日、8回表、無死一塁の場面だ。アビサイル・ガルシア(ミルウォーキー・ブルワーズ)の打球は、二塁フライになるかと思われた。だが、二塁手のニコ・ホーナー(シカゴ・カブス)は、その打球をダイレクトに捕球しなかった。手前でバウンドしたところを捕り、一塁へ送球した。

 ゆっくりと一塁へ向かっていた打者よりも早く、ボールは一塁手のグラブへ。打球がフィールドに落ちたのを見て、一塁走者は二塁へ走り出したが、塁間に挟まれ、最後はホーナーにタッチされた。この併殺により、2死走者なし。二塁フライにしていれば、1死一塁だったはずだ。

 併殺を「作り出した」ホーナーは、今シーズンがメジャーリーグ3年目。2018年のドラフトで、カブスから全体24位指名を受け、スタンフォード大からプロ入りした。本来はミドル・インフィルダーだが、遊撃と二塁に加え、三塁と外野も守る。この試合でも、9回表に二塁からセンターへ移った。

 ホーナーと同じようなプレーを、イアン・キンズラーもしたことがある。こちらは併殺にはならなかったものの、一塁走者の「入れ替え」に成功した。その詳細は、当時、「これぞ頭脳プレー。平凡なフライをわざと捕らなかったのは、かつて古巣のシーズン全敗を願ったあの二塁手」で書いたとおりだ。

 キンズラーは、2006年から2019年まで、メジャーリーグの5チームでプレーした。2000安打には1本届かなかったものの、257本塁打と243盗塁を記録し、416本の二塁打も打った。2009年と2011年は30-30を達成し、2016年と2018年はゴールドグラブを受賞した。

トラビス・スナイダー(手前)とイアン・キンズラー SEP 1, 2009
トラビス・スナイダー(手前)とイアン・キンズラー SEP 1, 2009写真:ロイター/アフロ

 MLBパイプライン(MLB.com)は、2019年のプロスペクト・ウォッチで、ホーナーについて、こう記している。「遊撃よりも二塁が適任かもしれず、イアン・キンズラーと比較されている」

 ホーナーはまだレギュラーではないが、現在の年齢は23歳。キンズラーがメジャーデビューした当時と同じだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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