これぞ頭脳プレー。平凡なフライをわざと捕らなかったのは、かつて古巣のシーズン全敗を願ったあの二塁手
デトロイト・タイガースのイアン・キンズラーが、4月17日のヒューストン・アストロズ戦で頭脳的なプレーを演じた。
無死一塁の場面。二塁手のキンズラーは平凡なフライに対し、グラブを上げて捕球態勢に入った。だが、ボールはキンズラーのグラブには触れず、その手前に落ちた。バウンドしたボールを拾ったキンズラーは、二塁ベース上の遊撃手にトス。一塁走者が封殺され、打者は一塁に生きて1死一塁となった。
そのままフライを捕球しても、状況は同じく1死一塁だった。ただ、スピードという点で、打者のタイラー・ホワイトは一塁走者のコルビー・ラスマスに劣る。キンズラーによる走者の入れ替えは功を奏し、続く打者がヒットを打ったものの、ホワイトは二塁でストップした。タイガースは後続を断ち、この回を無失点で切り抜けた。
インフィールド・フライのルールが適用されるのは、無死もしくは1死で一、二塁か満塁の場面だけだ。このプレーは故意落球のルールにも該当しない。キンズラーがボールをグラブに当てて落球したのではないからだ。
キンズラーは2013年のオフにテキサス・レンジャーズからタイガースへトレードされ、翌年のスプリング・トレーニング中に論議を呼ぶ発言をした。ESPNマガジンのロベルト・サンチェスに向かって「162敗してほしい」と古巣レンジャーズのシーズン全敗を願い、ジョン・ダニエルズGMも批判した。この発言と違い、今回のプレーに批判の余地はない。