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この契約は安すぎる!? 5年間の総額は1000万ドル未満。同年デビューには総額3億ドル以上も…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ランディ・ドブナック(ミネソタ・ツインズ)Mar 13, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ミネソタ・ツインズが、ランディ・ドブナックと5年間の延長契約を交わした。ただ、その総額は925万ドル。ドブナックと同じく、2019年にメジャーデビューし、今シーズンがメジャーリーグ3年目となるフェルナンド・タティースJr.(サンディエゴ・パドレス)は、1ヵ月前に14年3億4000万ドルの延長契約を手にしている。ドブナックの総額は、タティースJr.と比べると二桁少ない。

 これまでのドブナックの成績は、2019年が5先発と4救援の計28.1イニングで防御率1.59、2020年は10先発の計46.2イニングで防御率4.05だ。今シーズンは、ブルペンの一員として開幕を迎える。その一方で、タティースJr.はすでにスーパースターとなりつつある。とはいえ、5年間の総額が1000万ドルに満たないのは、破格の安さに思える。

 ただ、タティースJr.のようなメジャーリーガーの父を持たないことはさておき、ドブナックはアメリカで生まれ育ちながら、高校時代も大学時代も、ドラフトにかからなかった。大学から独立リーグを経て、2017年の夏にツインズへ入団した時の契約金は、たったの500ドルだった。マイナーリーグ時代には、オフにUberのドライバーとして働いていたこともある。

 こうしたことからすると、5年925万ドルの延長契約は、サクセス・ストーリーと言っていいだろう。この契約には3年間(2026~28年)の球団オプションがついていて、それらをすべて行使されると、総額は2975万ドルとなる。出来高などをクリアすれば、金額はさらに増える。

 現在、ドブナックは26歳(すでに結婚している)。そのサクセス・ストーリーは、まだ始まったばかりかもしれない。昨シーズンの防御率4.05は40イニング以上の111人中60位に過ぎず、奪三振率5.21はワースト4位ながら、ファングラフスのデータによると、ゴロ率62.1%は111人のなかで最も高かった。今春は5登板で計15.2イニングを投げ、自責点はホームランによる1点しかない。

 ローテーションに故障者が出た際は、先発として投げることもありそうだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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