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NPB1年目に20セーブ以上を記録した投手たち。昨年のドラフト1位、広島東洋の栗林もそこに加わる!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
与田剛 February 26, 2013(写真:アフロスポーツ)

 今シーズン、広島東洋カープのクローザーは、新人の栗林良吏が務める。前年に19セーブ(と7ホールド)を記録したヘロニモ・フランスアは、3月上旬に右膝の手術を受けた。復帰がいつになるのかは未定。長期離脱は必至だ。栗林は、昨年のドラフトで1位指名を受け、トヨタ自動車から入団した。オープン戦の4登板で計4.0イニングを投げ、失点はなし。打者15人と対戦して約半数の7人から三振を奪い、被安打は2本、与四球は1にとどめた。

 NPB1年目に20セーブ以上を記録した投手は、調べたところ、19人いた。ただ、その前にNPB以外のプロ・リーグで登板したことのある投手を除くと、人数はグッと減る。1990年に中日ドラゴンズで31セーブの与田剛、2003年に広島東洋で25セーブの永川勝浩、2004年に福岡ダイエーホークスで28セーブの三瀬幸司、2011年に埼玉西武ライオンズで22セーブ(と1ホールド)の牧田和久(現・東北楽天ゴールデンイーグルス)、2014年に横浜DeNAベイスターズで21セーブ(と13ホールド)の三上朋也、2015年に同じく横浜DeNAで37セーブ(と7ホールド)の山﨑康晃。この6人しかいない。現在、与田は中日の監督、永川は広島東洋の一軍投手コーチ、三瀬は中日のスカウト。三上と山﨑は、今も横浜DeNAの選手だ。もっとも、2人とも、クローザーではない。

筆者作成
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 他の13人中10人は、メジャーリーグ(MLB)を経験した後、NPBへやってきた。ロドニー・ペドラザのMLB出場は皆無だが、1991年のMLBドラフトでモントリオール・エクスポズに指名され(2巡目・全体62位)、エクスポズ、コロラド・ロッキーズ、テキサス・レンジャーズに在籍し、いずれもマイナーリーグで投げた。ロッキーズとレンジャーズの間には、独立リーグでも登板している。林昌勇呉昇桓は、韓国プロ野球(KBO)からNPBへ移ってきた。

 なお、ルーキーとしてシーズン20セーブ以上は、与田から山﨑までの6人、だけではない。1995年にオリックス・ブルーウェーブで27セーブの平井正史と2014年に埼玉西武で29セーブの髙橋朋己は、ともにその年が2年目ながら、前年に一軍で投げたイニングが少なく、新人王資格を持っていた。

 8人のうち、与田、平井、三瀬、牧田、山﨑の5人は、新人王を受賞した。永川と髙橋は投票2位、三上は4位。2003年のセ・リーグ新人王投票は、亜細亜大でチームメイトだった木佐貫洋と永川がトップ2を占めた。与田と山﨑も、亜細亜大の出身だ(与田はNTT東京からプロ入り)。

 ちなみに、広島東洋の佐々岡真司監督は、NPB1年目に先発としてもリリーフとしても投げ、13勝11敗、17セーブ、防御率3.15を記録した。けれども、新人王は受賞できなかった。この年、セ・リーグの新人王に選ばれたのは、与田だった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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