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21世紀の「シーズン二桁完投」は大野雄大が延べ21人目。完投数がリーグ全体の15%以上を占めたのは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
黒田博樹 February 1, 2008(写真:ロイター/アフロ)

 今シーズン、大野雄大(中日ドラゴンズ)は、両リーグ最多の10完投を記録した。

 断っておくが、先発投手はすべからく完投すべきだと考えているわけではない。例えば、あと3アウトで完投というところで、10点以上リードしていて、その投手がすでに150球以上を投げ、ブルペンには登板間隔の空いた投手がいる場合、ノーヒッターを継続中など一部の例外を除き、あえて完投させるべきではないと思う。

 とはいえ、1シーズンに二桁の完投は、そうそうできるものではない。21世紀のシーズン二桁完投は、延べ21人。2014年以降の7シーズンに限れば、2018年の菅野智之(読売ジャイアンツ)と今シーズンの大野しか記録していない。

筆者作成
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 シーズンの長さに違いがあり、登板数にも差はあるものの、21人のうち、先発登板の50%以上が完投は、2004~06年に3年連続の松坂大輔(現・埼玉西武ライオンズ)と2011年の田中将大、そして、今シーズンの大野だけだ。

 また、大野の完投は、リーグ全体の4分の1以上を占めた。今シーズン、セ・リーグの投手が記録した計36完投中、27.8%は大野によるものだ。この割合は21人のなかで最も高く、2018年の菅野(10/43=23.3%)を上回る。2018年のセ・リーグは、読売を除く5球団が10完投未満。今シーズンも、中日以外の5球団はそう。加えて、パ・リーグは6球団とも5完投以下だった。ちなみに、リーグ全体の15%以上は他に3人。2001年と2005年の黒田博樹が15.1%(13/86)と15.5%(11/71)、2013年の金子千尋(弌大/現・北海道日本ハムファイターズ)は17.2%(10/58)だ。

 なお、21世紀にシーズン二桁完投を記録した投手のうち、2003年に11完投の上原浩治は、20世紀の1999年も二桁。このシーズンは、25先発中12試合が完投だった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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