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ミネソタの観客席に並ぶレジェンドの「デカ顔」。そこには、元・広島東洋、読売、横浜のあの選手たちも

宇根夏樹ベースボール・ライター
ターゲット・フィールド Aug 4, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、ミネソタ・ツインズの本拠地、ターゲット・フィールドのホーム後方には、レジェンドたちの「デカ顔(ビッグ・ヘッド)」が84枚並んでいる。選手、監督、コーチが計80人、ツインズの試合を実況中継してきたブロードキャスターが4人だ。

 その人選については、バートロ・コローンがいる一方で、チャック・ノブロックがいないなど、ファンの間で論議を呼んでいる。コローンがツインズで投げたのは、2017年の後半戦のみ。15試合に先発し、防御率は5.18だった。ノブロックは、メジャーリーグでプレーした12シーズンのうち、最初の7シーズンをツインズの二塁手として過ごし、打率.304、出塁率.391、210二塁打、51三塁打、43本塁打、276盗塁を記録した。新人王(1991年)とゴールドグラブ(1997年)を受賞し、オールスター・ゲームには4度(1992、94、96~97年)選出された。

 ただ、今から6年前、ノブロックは球団の殿堂に入ることが決まったが、そうはならなかった。セレモニーが行われる前月に、ノブロックは前妻に暴力を振るって逮捕され、ツインズはノブロックの殿堂入りをキャンセルした。コローンのボードがある理由は不明ながら、ノブロックのボードがないのは、どうやらこれが理由らしい。

 また、80人のうち4人は、日本プロ野球の経験者でもある。野手3人と投手1人だ。ゾイロ・ベルサイエスは1972年に広島東洋カープ、ダン・グラッデンは1994年に読売ジャイアンツ、シェーン・マックは1995~96年に読売でプレーし、パット・マホームズは1997~98年に横浜ベイスターズで投げた。ベルサイエスは、球団の殿堂に入っている。

 彼らと違ってボードにはなっていないものの、ワシントン・セネタース時代を含め、ツインズで5シーズン以上を過ごし、日本プロ野球でもプレーした選手は、他にもいる。調べたところ、ディーン・ストーン(1964年/大洋ホエールズ)、ロン・デービス(1989年/ヤクルトスワローズ)、ルー・フォード(2008年/阪神タイガース)、マイケル・トンキン(2018年/北海道日本ハムファイターズ)が見つかった。

筆者作成
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 フォードはカルトな人気を博し、ターゲット・フィールドの前にツインズが本拠地としていたメトロドームでは、打席に入るたびに「ル~~~~」と声援を送られた。今月、フォードは44歳となる。今も現役選手だ。ここ数年は独立リーグのロングアイランド・ダックスに在籍し、打撃コーチを兼任しながらプレーを続けている。昨シーズンは77試合に出場し、打率.303と出塁率.354を記録した(今シーズンは、試合が行われていない)。

 トンキンがメジャーリーグのマウンドに上がったのは、今のところ、ツインズにおける5シーズンだけだ。昨シーズンはフォードとチームメイトになり、8月にアリゾナ・ダイヤモンドバックスへ移って、傘下のAAAで投げた。今年5月に解雇されている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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