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史上初の延長タイブレイクは、サヨナラ満塁本塁打で決着。エンジェルスの黒星は大谷翔平も要因!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
中央の背番号「28」がマット・オルソン Jul 24, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月24日にオークランド・コロシアムで行われた開幕戦は、延長戦に入った。メジャーリーグ初の「タイブレイク」だ。今シーズンの特別ルールとして、10回以降のイニングは無死二塁からスタートする。

 10回表、ロサンゼルス・エンジェルスの攻撃は、二塁に大谷翔平、打席にはジャレッド・ウォルシュというところから始まった。9回表にジェイソン・カストロのホームランで同点に追いつき、そこから2死一、二塁としたが、マイク・トラウトが敬遠四球で歩かされた後、大谷が三振に仕留められ、イニングは終わった。そのため、大谷は10回表の二塁走者となった。

 まず、ウォルシュが打ったゴロで大谷が二塁と三塁の間に挟まれ、無死二塁が1死一塁に。大谷のスピードからすれば、代走を起用しなかったのは頷けるが、ゴロを捕ったのが一塁手のマット・オルソンだったことを考えると、スタートを切った大谷の判断には疑問符がつく。現役の一塁手のなかで、オルソンの守備は最高かそれに近い。その後は、ヒット、捕手フライ、四球、二塁ゴロ。3つの塁はすべて埋めたものの、本塁を踏むことはできなかった。

 一方、10回裏のオークランド・アスレティックスは、無安打で1死満塁とした。死球、三振とワイルド・ピッチ、四球だ。出塁したのは2人だが、こちらも最初から二塁に走者がいた。そして、ハンセル・ロブレスに代わって登板したホビー・ミルナーの初球を、オルソンが打ち返した。

 オルソンは守備がうまいだけでなく、パワーもある。また、オルソンとミルナーは左対左だが、昨シーズンのオルソンのホームランは、36本中11本が左投手からだった。これは、左打者が左投手から打った本数の5位タイ。ア・リーグの左打者に限れば、カイル・シーガー(シアトル・マリナーズ)と並び、最も多かった。

 なお、開幕戦のサヨナラ満塁本塁打は、1986年にマリナーズのジム・プレスリーが打って以来だ。34年前も、10回裏に敗れたのはエンジェルスだった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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