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サイン盗みスキャンダルに揺れる球団の新監督は、あくまでも「つなぎ」に過ぎない!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ダスティ・ベイカー監督(ヒューストン・アストロズ)Jan 30, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ヒューストン・アストロズの監督に、ダスティ・ベイカーが就任した。

 昨シーズンまで指揮を執っていたA.J.ヒンチ監督(とジェフ・ルーノーGM)は、2017年から翌年にかけて行っていたサイン盗みにより、コミッショナーから2020年の停職処分を科された。アストロズのオーナーは、その直後に2人を解雇。後任のGMは、まだ決まっていない。

 ベイカーは、22年の監督歴を持つ。4球団で采配を振り、通算1863勝は歴代15位に位置する(3500試合と1636敗も15位)。ワールドシリーズ優勝はないものの、地区優勝は7度を数え、ワイルドカードを含めるとポストシーズン進出は9度。サンフランシスコ・ジャイアンツでは、2002年にリーグを制し、ワールドチャンピオンに王手をかけた。最優秀監督には、3度選ばれている。

 もっとも、ア・リーグの球団で監督を務めるのは、今回が初めてだ。これまでの4球団は、ジャイアンツ(1993~2002年)、シカゴ・カブス(2003~06年)、シンシナティ・レッズ(2008~13年)、ワシントン・ナショナルズ(2016~17年)。いずれもナ・リーグだった。

 それ以上に気になるのは、アストロズがベイカーと交わした契約だ。金額は定かではないが、ボブ・ナイテンゲール(USAトゥディ)やケン・ローゼンタール(ジ・アスレティック)のツイートによると、2020年の1年契約で、2021年は球団オプションだという。

 アストロズとしては、スキャンダルの衝撃が大きいシーズンを経験豊富な監督で乗り切り、2020年のオフに改めて今後を考えるということだろうか。まさか、ヒンチが監督に返り咲くことはないと思うが、停職処分はワールドシリーズ終了とともに解ける。

 なお、アストロズが2020年のポストシーズンへ進むと、ベイカーは「異なる5球団でポストシーズンに進出した史上初の監督」となる。ちなみに、4球団でベイカーと並んでいるのは、ビリー・マーティンデービー・ジョンソン(その前に読売ジャイアンツでもプレーした)の2人だ。ベイカーと違い、彼らは監督としてワールシリーズワールドシリーズで優勝している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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