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2010年代ディケイド・ベストナイン。阿部、鳥谷、山田哲、丸、浅村、中村剛は受賞5度。最多得票は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
坂本勇人/2017年のWBC MARCH 7, 2017(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 各リーグそれぞれのポジションにおける、2010年代のベストナイン受賞回数と得票総数を見ていくと、セ・リーグの捕手、二塁手、三塁手、パ・リーグの二塁手、三塁手、DHの6ポジションは、受賞回数が単独最多の選手が、得票総数でもトップに立つ。阿部慎之助山田哲人村田修一浅村栄斗中村剛也アルフレド・デスパイネがそうだ。

筆者作成
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 1シーズンに各リーグ3人が選ばれる外野手も、受賞回数と得票総数のトップ3は同じ顔ぶれ。セ・リーグは丸佳浩鈴木誠也マット・マートン、パ・リーグは秋山翔吾柳田悠岐糸井嘉男が並ぶ。

 また、両リーグの投手、パ・リーグの捕手、一塁手、遊撃手の5ポジションは、受賞回数のトップ・タイにいる選手の一人が、最も多くの票を得ている。例えば、前田健太の場合、セ・リーグの投手部門で受賞3度は菅野智之と並ぶが、731票は単独最多だ。菅野より25票多い。

 ただ、残る2ポジション、セ・リーグの一塁手と遊撃手は、様相が異なる。一塁手の得票総数トップは、2度ずつ受賞しているトニ・ブランコダヤン・ビシエドではなく、受賞1度の畠山和洋だ。遊撃手の得票総数も、受賞4度の坂本勇人が受賞5度の鳥谷敬を上回るだけでなく、300票近い差をつけている。このディケイドにおいて、坂本がどの年も票を得ているのに対し、鳥谷は2016年以降、遊撃手部門の得票はまったくない(2017年に三塁手部門で4票)。2人とも、2000年代にも1度ずつ、ベストナインに選ばれている。

 なお、2010年代にベストナイン5度の選手は、阿部、山田哲、鳥谷、丸の他にも2人いる。二塁手として4度受賞の浅村は、その前に一塁手として受賞。中村剛の三塁手4度は、DHとして受賞の前後に2度ずつだ。また、中田翔は外野手(2度)と一塁手(2度)、大谷翔平は投手(2度)とDH、西岡剛は遊撃手と二塁手、李大浩は一塁手とDH、銀次は三塁手と一塁手として受賞している。

 得票総数の全選手トップは、1295票の丸だ。他のリーグやポジションで得た票を合算しても、丸を上回る選手はいない。さらに、丸はMVP投票の合計2768ポイントも、このディケイドで最も多い。1年前に「2010年代の「ディケイドMVP」は誰? MVP合計ポイントのトップ3は、丸佳浩、柳田悠岐、山田哲人」で紹介した時点でトップに立っていて、今年、そこに306ポイントが加わった。MVPもベストナインと同じく、セ・リーグの投票総数はパ・リーグより多いが――今年は300票と254票――この点を考慮しても、丸の1位は動かない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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