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1シーズンに2チームで満塁本塁打を打つのは史上初……ではないが、別の要素を一つ加えると

宇根夏樹ベースボール・ライター
フレディ・ギャルビス(シンシナティ・レッズ)Aug 21, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月12日、フレディ・ギャルビス(シンシナティ・レッズ)が、シーズン2本目のグランドスラム(満塁本塁打)を打った。1本目は6月24日。当時、ギャルビスはトロント・ブルージェイズでプレーしていた。8月12日にレッズへ移籍。ウェーバー公示されたギャルビスに対し、レッズが獲得の名乗りを上げた。

 1シーズンに2チームで満塁本塁打は、ギャルビスが初めてではない。今シーズンは、ギャルビスの前にジェイ・ブルース(現フィラデルフィア・フィリーズ)が記録している。5月にシアトル・マリナーズ、6月にフィリーズで打った。昨シーズンは3人。ジマン・チョイ(現タンパベイ・レイズ)、ジョシュ・ドーナルソン(現アトランタ・ブレーブス)、ブライアン・グッドウィン(現ロサンゼルス・エンジェルス)が記録した。ドーナルソンとグッドウィンは、それぞれの2チーム目(シーズン2本目)となる満塁本塁打を、同じ試合で打ち合った。当時、ドーナルソンはクリーブランド・インディアンズ、グッドウィンはカンザスシティ・ロイヤルズにいた。

 だが、ある要素をつけ加えると、ギャルビスは史上初となる。スタッツ社は「同じシーズンに、2つの異なるチームで遊撃手としてグランドスラムを打った史上初の選手」とツイートした。どちらの試合も、ギャルビスは遊撃手としてスターティング・ラインナップに名を連ねた。

 遊撃手に限らなければ、同じポジションという選手は、過去にもいる。例えば、ブルースは満塁本塁打を打った2試合とも、レフトを守っていた(昨シーズンの3人は、チームだけでなくポジションも違った。チョイは代打とDHなので、いずれも守備にはついていない)。

 なお、ギャルビスの満塁本塁打は通算3本だ。フィリーズ時代の6シーズン(2012~17年)は0本だったが、昨シーズン、サンディエゴ・パドレスで1本目を打った。偶然かもしれないが、満塁の場面での打率も、2017年までは.267(45打数12安打)、2018年以降は.474(19打数9安打)と大きく違う。全体の打率は.245と.255。そこまでの差はない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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