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チームメイトと殴り合って、シーズン終了の手術。その原因となったのは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
カイル・クリック(ピッツバーグ・パイレーツ)Jun 4, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月10日、カイル・クリック(ピッツバーグ・パイレーツ)は、右手人差し指の伸筋腱の手術を受け、シーズンを終えた。それを伝えたパイレーツのリリースには「月曜日(9月9日)の試合前にサンフランシスコのクラブハウスで起きたフェリペ・バスケスとの乱闘の結果、負傷に至った」と書いてある。

 昨シーズンから、2人はチームメイトとして過ごしている。バスケスは、3年前の夏にワシントン・ナショナルズからパイレーツへ。クリックは、昨年1月にサンフランシスコ・ジャイアンツからパイレーツへ移籍した。パイレーツではそれぞれ、クローザーとセットアッパーを務めている。

 手術の翌々日、ピッツバーグ・ポスト-ガゼットのニューバイアス・ウィルボーンは、さらに詳細な内容を報じた。それによると、クラブハウスで曲をかけていたクリックに対し、バスケスが止めてほしいと言ったが、クリックは応じなかった。言い合いを続けた末、バスケスが最初にパンチを繰り出し、そこから殴り合いになった。バスケスも無傷ではなく、鼻を6針縫ったという。

 この記事は、2人がパイレーツに科された罰金は、クリックが2500ドル、バスケスは1万ドルであることも伝えている。さすがは地元紙と言うべきか。罰金については、パイレーツのリリースにも書いてあるが、金額は出ていなかった。

 パイレーツでは、7月下旬にも2度、リリーフ投手による騒動が起きている。いずれも口論にとどまり、殴り合いには至らなかったが、最初はキオーネ・ケラとフロント・オフィスにいるヘクター・モラレス(カルチュラル・リーディネス・ディレクター&ピーク・パフォーマンス・コーチ)、次はクリックとブルペン・コーチのユークリデス・ロハスだ。2度目の件は、クリックがコーチに、ブルペンでバスケスだけが優遇されていると言ったのが始まりらしい。これが、今回の殴り合いの遠因になったと見ることもできる。

 クリックがFAになるのは、2023年のオフだ。バスケスは4年2200万ドル(2018~21年)の契約を交わしていて、そこには2022~23年の球団オプションもついている。ただ、来シーズン、2人が同じユニフォームを着て投げるかどうかは、定かではない。

 なお、かつて、フェリペ・リベロという名前だったバスケスは、改名に際し、ファンに謝罪した。それについては「改名したことをファンに謝った、律儀なクローザー」で書いた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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