Yahoo!ニュース

同時に「200本塁打」と「1000安打」は史上初。普通はどちらを先に達成?

宇根夏樹ベースボール・ライター
タイラー・フラワーズ(左)とブライス・ハーパー Jul 3, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月3日のホームランにより、ブライス・ハーパー(フィラデルフィア・フィリーズ)は200本塁打と1000安打を同時に達成した(写真)。スタッツ社によると、ホームランの100本目、200本目、300本目、400本目、500本目、600本目、700本目と、安打の1000本目、2000本目、3000本目、4000本目は、どの組み合わせでも、ハーパー以外に同時達成はいないという。

 ハーパーの200本塁打は、現役選手では37人目、1000安打は82人目だ。この人数からすると、達成の順序は、1000安打、200本塁打が一般的――これらを達成すること自体が一般的かどうかはさておき――だと予想できる。ただ、1000安打以上で200本塁打未満の選手だけでなく、なかには、1000安打未満で200本塁打以上の選手も存在する。

 同時達成のハーパーを除く、1000安打&200本塁打の現役選手34人のうち、27人は先に1000安打を達成した。200本塁打が先だったのは7人。人数の割合は8:2となる。やはり、1000安打、200本塁打の順序が多い。

 34人のなかに、両方のマイルストーンを同じ月に達成した選手はいないが、同じシーズンは9人を数える。今シーズンは2人が、どちらも1000安打、200本塁打の順に達成した。J.D.マルティネス(ボストン・レッドソックス)は3月31日と5月7日、ノーラン・アレナード(コロラド・ロッキーズ)は4月22日と5月25日。J.D.は1000本目の安打から31試合後に、200本目のホームランを打った。アレナードは27試合後だ。

 また、アルバート・プーホルス(ロサンゼルス・エンジェルス)は、200本塁打が2005年9月30日、1000安打は2006年4月21日(いずれも当時はセントルイス・カーディナルス)。シーズンは違うものの、200本塁打から18試合後に1000安打を達成した。この2つのマイルストーン達成がプーホルスに次いで近いのは、6月からハーパーのチームメイトになったジェイ・ブルースだ。シンシナティ・レッズ時代の2015年8月10日に200本目のホームランを打ち、そこから26試合後の9月7日に1000安打を達成した。ブルースの移籍については、「夏のトレード市場が幕を開ける前に、マリナーズは早々とスラッガー放出!?」「マリナーズから獲得したスラッガーが、早くも大当たり。最初の4試合でホームラン4本」で書いた。

 なお、プーホルスはカーディナルス時代に、200本塁打と1000安打のそれぞれ2倍となる、400本塁打と2000安打も達成している。達成日は、2010年8月26日と2011年7月29日。2000本目の安打は、400本塁打から数えて127試合後だった。プーホルスの他、現役選手ではミゲル・カブレラ(デトロイト・タイガース)も400本塁打&2000安打。こちらは、200本塁打が1000安打の139試合後、400本塁打は2000安打の193試合後だ。

 最初の200本塁打(1~200本)と次の200本塁打(201~400本)に要した試合数を比べると、2人とも後者の方が少ない。最初の1000安打(1~1000本)と次の1000安打(1001~2000本)で試合数が少なかったのは、プーホルスが前者であるのに対し、カブレラは後者だった。

 

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事