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マリナーズから獲得したスラッガーが、早くも大当たり。最初の4試合でホームラン4本

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジェイ・ブルース(フィラデルフィア・フィリーズ)Jun 5, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月2日、ジェイ・ブルースは、シアトル・マリナーズからフィラデルフィア・フィリーズへトレードされた。

 翌日のフィリーズ・デビューは、3打数1安打(シングル)。どちらかと言えば、静かなスタートを切った。けれども、2試合目の長打3本――二塁打、2ラン本塁打、グランドスラム――を皮切りに、3試合目は二塁打とソロ本塁打、4試合目は2ラン本塁打を打った。イライアス・スポーツ・ビューローによると、フィリーズの選手としてプレーした最初の4試合で計4本のホームランは、モダン・エラ(1900年あるいは1901年以降)では初めてだという。

 5試合目は長打こそ出なかったが、1回裏の2死満塁からヒットを打ち、2人を生還させた。ここまでは、18打数8安打(打率.444)、4本塁打、2二塁打、11打点。フィリーズの勝敗は●○○○○(4勝1敗)だ。ちなみに、直前の5試合は○●●●●(1勝4敗)だった。

 フィリーズがブルースを獲得した理由は、先日、「夏のトレード市場が幕を開ける前に、マリナーズは早々とスラッガー放出!?」で書いたとおりだが、フィリーズにおけるブルースの必要性は、移籍の直後、打ちまくる前から高まっていた。トレードの翌日、フィリーズではアンドルー・マッカッチェンが左膝を負傷し、今シーズンを終えた。

 さらに、こちらはブルースが打ち始めてからのことだが、マッカッチェンの離脱によって昇格したアダム・ヘイズリーは、2試合に出場しただけで、左股関節を痛めて故障者リストに入った。それに伴って再昇格したニック・ウィリアムズは、打撃不振によって、5日前に降格となったばかりだ。

 現在、ブルースはマッカッチェンの抜けたレフトに入り、センターはユーティリティのスコット・キンガリーが守っている。

 なお、ブルースはマリナーズで14本のホームランを打っているので、シーズン全体では18本だ。クリスチャン・イェリッチ(ミルウォーキー・ブルワーズ)とは5本の差があるが、今後も打ち続ければ、両リーグ最多のホームランを記録してもおかしくない。

 ただ、そうなっても、本塁打王のタイトルは手にできないだろう。マリナーズはア・リーグ、フィリーズはナ・リーグの球団だ。22年前、マーク・マグワイアは58本のホームランを打ったが、ア・リーグの本塁打王は56本のケン・グリフィーJr.、ナ・リーグは49本のラリー・ウォーカーが獲得した。マグワイアのホームランは、ア・リーグのオークランド・アスレティックスで34本、ナ・リーグのセントルイス・カーディナルスで24本だった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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