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トランプ大統領の「ホワイトハウス訪問がレッドソックスに幸運をもたらす」はフェイク!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
J.D.マルティネス(ボストン・レッドソックス)May 12, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ホワイトハウスを訪れたボストン・レッドソックスは、翌日からの3連戦でシアトル・マリナーズをスウィープした。それについて綴ったドナルド・トランプ大統領のツイートには、「ホワイトハウス訪問はスポーツ・イラストレイテッドの表紙とは逆!」とある。この雑誌の表紙を飾ると調子を落とすという「スポーツ・イラストレイテッドの呪い」とは反対に、ホワイトハウスを訪れると調子が上がると言いたいのだろう。

 だが、レッドソックスの連勝は、ホワイトハウス訪問の2日前から始まった。マリナーズと対戦する前の3カードも、レッドソックスは続けて勝ち越し、合わせて8勝2敗を記録した。一方、マリナーズは直前の3カードとも負け越し(計2勝7敗)、ボストンのフェンウェイ・パークへやってきた。

 レッドソックスがホワイトハウスを訪問したのは、昨年のワールドシリーズで優勝したからだ。そこから退団した選手は、おそらく、ホワイトハウスへ行かなかった人数よりも少ない。開幕当初の低迷ではなく、現在こそがレッドソックスの本当の姿だ。

 また、ワールドシリーズ優勝の翌年にホワイトハウスを訪れ、トランプ大統領と会ったチームのうち、2017年6月28日に訪問したシカゴ・カブスは、その夜の試合に敗れ、そこからオールスター・ブレイクに入るまで4勝7敗と負け越した。昨年、ヒューストン・アストロズが訪問したのは3月半ば。開幕の半月前だった。

 なお、アストロズのワールドシリーズ優勝は、スポーツ・イラストレイテッドの「予言」を実現させた。その3年前、スポーツ・イラストレイテッドは表紙にジョージ・スプリンガーを据え、「2017年のワールドシリーズ覇者」と謳った。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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