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ヤンキースが「ロッキーズの元併殺デュオ」の次に入手を目論む内野手は!? マチャドではなく…

宇根夏樹ベースボール・ライター
トロイ・トゥロウィツキ(左)とDJ・ラメイヒュー Jun 30, 2015(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 トロイ・トゥロウィツキDJ・ラメイヒューは、2015年の夏まで、コロラド・ロッキーズで併殺デュオを組んでいた。今オフ、2人はニューヨーク・ヤンキースに入団し、再びチームメイトとしてプレーする。

 2018年に全休したトゥロは、トロント・ブルージェイズから解雇され、公開練習を行った後、ヤンキースと1年契約を結んだ。年俸55万5000ドルは2019年のメジャーリーグ最低限度額だ。ただし、トゥロがロッキーズと交わした10年1億5775万ドル(2011~20年)の契約は、あと3800万ドルが残っていて、これはブルージェイズからトゥロに支払われる。また、ヤンキースとの契約には、全球団に対するトレード拒否権がついている。

 トゥロの入団から2週間経たず、ロッキーズからFAとなっていたラメイヒューも、ヤンキースに加わった。こちらは、2年2400万ドルの契約を得た。

 彼らの入団により、ヤンキースがマニー・マチャドと契約する可能性は、かなり低くなった。マチャドのポジションは、遊撃あるいは三塁だ。一塁を除くヤンキースの内野3ポジションには、トゥロとラメイヒューの他、2018年の新人王投票で2位と3位に入ったミゲル・アンドゥーハーグレイバー・トーレスがいる。10月にトミー・ジョン手術を受けたディー・ディー・グレゴリアスも、夏頃には復帰の予定だ。基本的には、三塁から時計回りに、アンドゥーハー、トーレス、ラメイヒューの3人が守り、夏以降はアンドゥーハー、グレゴリアス、トーレスになると思われる。マチャドの入団があるとすれば、アンドゥーハーをトレードで放出した場合だけだろう。

 そもそも、ヤンキースが狙っている大物内野手は、マチャドではなく、今シーズンが終わるとFA市場に出るノーラン・アレナード(ロッキーズ)ではないだろうか。ヤンキースからはトゥロとグレゴリアスがFAになるが、アレナードが守る三塁にはアンドゥーハーがいる。けれども、アンドゥーハーは2018年に、どちらも三塁手ワーストのDRS-25とUZR-16.0を記録した。それに対し、アレナードは6年続けてゴールドグラブを受賞している。

 また、アレナードの打撃は、マチャドに勝るとも劣らない。過去3年のスラッシュライン(打率/出塁率/長打率)と本塁打は、アレナードが.300/.370/.572と116本、マチャドは.283/.340/.514と107本だ。アレナードは打者天国のクアーズ・フィールドを離れると.270/.340/.490と49本だが、こちらもマチャドがアウェーで記録した.264/.314/.464と43本を上回る。マチャドが昨夏までホームとしていたカムデンヤーズも、打者有利な球場だ。

 ともに右打者で、年齢はアレナードが上とはいえ、その差は1年3ヵ月に過ぎない。さらに言えば、昨年11月に「汚いプレーをする汚い選手が、最高の大型契約をゲットする!?」で書いたようなことは、アレナードには見当たらない。

 ラメイヒューは、ヤンキースでトゥロと再会するのに続き、来シーズンは、アレナードと再びチームメイトになるかもしれない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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