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岩隈久志と菊池雄星の前にマリナーズで背番号「18」をつけた選手たち。そのなかにエースはいたのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
イチロー(左)とエディ・ガーダッド Sep 29, 2005(写真:ロイター/アフロ)

 シアトル・マリナーズの背番号「18」は、岩隈久志から菊池雄星へ受け継がれた。岩隈の前にこの背番号をつけたライアン・ローランド-スミスも、その前のエディ・ガーダッドも、同じく投手だ。ただ、マリナーズの「18」は最初から投手の背番号だったわけではない。球団創設からの27年間(1977~2003年)に、投手はビル・スウィフトしかいなかった。

筆者作成
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 また、マリナーズの背番号「18」は、エース・ナンバーだったこともない。

 スウィフトがエースとして投げたのは、マリナーズからサンフランシスコ・ジャイアンツへトレードされてからだ。1992年にナ・リーグ1位の防御率2.08を記録し、翌年も4位の2.82。1993年のサイ・ヤング賞投票では2位に入り、アトランタ・ブレーブスの2人、グレッグ・マダックストム・グラビンの間に位置した。

 ガーダッドは、マリナーズで59セーブを挙げた。ローランド-スミスは、シーズンを通してローテーションを守ったことがなかった。

 岩隈はローテーションの一角を占め、2013年はリーグ3位の防御率2.66を記録するとともに、サイ・ヤング賞投票でも3位に入った。けれども、2010年代前半のマリナーズにはフェリックス・ヘルナンデスがいた。フェリックスと岩隈は「キング&クマ」であって、「クマ&キング」ではなかった。

 フェリックスは今もマリナーズにいるものの、「キング」として試合を支配した時代はすでに過ぎ、再び「君臨」する可能性は低い。フェリックスに代わるエースとして台頭したジェームズ・パクストンは、昨年11月のトレードで、ニューヨーク・ヤンキースへ移った。現在のマリナーズは、菊池がいきなりエースとなってもおかしくない状況だ。

 なお、マリナーズで背番号「18」をつけた後、日本プロ野球へ移ったのは、読売ジャイアンツに入団した岩隈が初めてではない。いずれも他球団を間に挟んでいるが、ジョー・リスは1978年に近鉄バファローズ、ロッド・アレンは1989~91年に広島東洋カープ、レジー・ジェファーソンは2000年に西武ライオンズでプレーした。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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