Yahoo!ニュース

ポストシーズンのシリーズ途中にロースターから外れると、故障が癒えても次のシリーズで復帰はできない

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジオ・ゴンザレス/左足首をひねりながらも打球を追った Oct 16, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ミルウォーキー・ブルワーズは、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズの第5戦を前に、ジオ・ゴンザレスを故障者リストに入れ、代わりにザック・デビースをロースターに加えた。前日の第4戦に先発登板したゴンザレスは、2回裏に高くバウンドした打球を捕ろうとしてジャンプし、着地の際に左足首を痛めた。次の打者に1球を投げたところで、マウンドを降りた。

 これにより、ブルワーズがワールドシリーズに進出しても、ゴンザレスは投げられないことが決まった。左足首が回復しても、だ。ポストシーズンのロースター(25人)はシリーズごとにセットできるが、シリーズの途中にロースターから外れた選手は、そのシリーズ中だけでなく、次のシリーズでもロースターには戻れない。

 シリーズの途中にロースターから外れても、次のシリーズで復帰できるのであれば、こんなことが可能だ。例えば、投手Aがリーグ・チャンピオンシップ・シリーズの第6戦に完投した場合、第7戦の前にロースターから外し、それに代えて投手Bを加える。投手Aは前日に完投しているが、投手Bは休養十分だ。そして、次のワールドシリーズでは、投手Aをロースターへ戻し、ローテーションどおりに先発させる。

 そうなれば、選手層の厚いチームはさらに有利となる。故障した選手を他の選手と入れ替えるには、コミッショナー事務局の許可を必要とするが、チーム・ドクターの協力を得て何らかの理由をつけ、許可を得ようとするチームが出てきても不思議ではない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事