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アトランタの球場で「ニューヨーク、ニューヨーク」が演奏された理由

宇根夏樹ベースボール・ライター
マット・ハービー(シンシナティ・レッズ)Jun 26, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月26日にサントラスト・パークで行われた試合で、オルガニスト(オルガン奏者)のマシュー・カミンスキーは、3回表に「ニューヨーク、ニューヨーク」を弾いた。

 サントラスト・パークはアトランタ・ブレーブスの本拠地だ。フランク・シナトラが歌う「ニューヨーク、ニューヨーク」は、ニューヨーク・ヤンキースがヤンキー・スタジアムで勝った直後に流れる。

 カミンスキーが演奏したのは、マット・ハービー(シンシナティ・レッズ)が打席に入る時だ。ハービーは5月上旬までニューヨーク・メッツにいたが、マイナーリーグへの降格を拒否して40人ロースターから外され、レッズへトレードされた。ハービーは数年前まで、メッツを救う存在として、バットマンになぞらえて「ダークナイト・オブ・ゴッサム」と呼ばれていた。

 続いて、5回表のハービーの打席で、カミンスキーはエディ・マーフィーの「パーティ・オール・ザ・ナイト」を演奏した。ハービーがパーティに興じる姿は、これまでに何度も報じられている。ニューヨーク・ポストでゴシップを扱うページ・シックスによると、昨年5月には朝4時までパーティに出ていて球場に姿を現さず、今年4月はサンディエゴ遠征中にさらに「遠征」して、ロサンゼルスのパーティに出席していたという。

 こういった選曲は、4月に「4億ドル・プレーヤーの去就をオルガン奏者が予言!?」でも紹介したように、カミンスキーの得意とするところだ。

 もっとも、この日のハービーは、バッティングこそ3打数無安打ながら、7回途中まで1点しか失わず、白星を挙げた。メッツではローテーションから外され、ブルペンに回されたが、レッズ移籍後は10先発で防御率3.86とまずまずの結果を残している。

 この夏、ヤンキースは先発投手の補強を計画しているようだ。可能性はそう高くないが、もしかすると、ゴッサム・シティのモデルであるニューヨークへ「バットマン・リターンズ」が実現するかもしれない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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