ドラフト全体1位で入団した選手は、2位の選手よりも活躍するのか
昨シーズンの162試合目の結果次第では、今年のドラフトは違う球団が全体1位の指名権を手にしていたかもしれない。そのことについては「ドラフト直前。全体1位の指名権は「パンダ」のおかげで「虎」が持つ」で書いた。では、ドラフト全体1位で入団した選手は、2位で入団した選手よりも活躍しているのだろうか。
1位が投手で2位が野手(あるいはその逆)であったり、野手同士でもポジションが異なるため、比較は容易ではない。こんな時には、総合指標のWARが――全面的に信頼しているわけではないが――役に立つ。なお、WARに関しては「大谷翔平からメジャーリーグを観ようと思っている人へ【その7】野手と投手を比較できるWARについて」で簡単に説明した。
1965年から2017年までに開催された通常のドラフトから、全体1位と2位のいずれか一方が入団しなかった(後のドラフトで入団した選手も含む)6度と、2人ともまだメジャーデビューしていない直近の2度を除くと、45度となる。1位の45人のrWARは合計992.6(平均22.1)、2位は合計619.8(平均13.8)だ。rWAR10以上は1位が27人(60.0%)、2位は21人(46.7%)。各年ごとに見ても、rWARが1位>2位でその差が5以上の年が23度あるのに対し、1位<2位でその差が5以上の年は15度にとどまる。
1966年と2013年のドラフトでは1位がメジャーデビューできず、2位のレジー・ジャクソンとクリス・ブライアント(シカゴ・カブス)はスーパースターとなった。ジャスティン・バーランダー(現ヒューストン・アストロズ)が2位の2004年も、そうなってもおかしくなかった。この年の1位はマット・ブッシュ(現テキサス・レンジャーズ)だった。けれども、全体としては指名順位のとおり、1位が2位よりも活躍していると言っていいだろう。
ちなみに、それぞれの指名順位のrWARベストは、1位がアレックス・ロドリゲス(1993年)の117.8、2位はレジーの74.0だ。A-RODに迫る全体1位はいないものの、バーランダーは60.6を記録しており、レジーを上回る可能性も皆無ではない。
また、1位と2位の両選手ともrWAR20以上を記録したドラフトは5度。1977年のハロルド・ベインズとビル・ガリクソン、1978年のボブ・ホーナーとロイド・モスビー、1985年のB.J.サーホフとウィル・クラーク、1999年のジョシュ・ハミルトンとジョシュ・ベケット、2005年のジャスティン・アップトン(現ロサンゼルス・エンジェルス)とアレックス・ゴードン(カンザスシティ・ロイヤルズ)がそうだ。