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ドラフト直前。全体1位の指名権は「パンダ」のおかげで「虎」が持つ

宇根夏樹ベースボール・ライター
トレイ・ターナー(左)とパブロ・サンドバル Apr 25, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月4日に始まる今年のドラフトは、デトロイト・タイガースが全体1位の指名権を持っている。

 昨シーズン、タイガースはサンフランシスコ・ジャイアンツと並び、両リーグ・ワーストの64勝98敗(勝率.395)を記録した。その前年はタイガースが86勝75敗(.534)、ジャイアンツは87勝75敗(.537)だったため、今年のドラフトの指名順位は、タイガースが全体1位、ジャイアンツは2位となった。

 ともに161試合を終えた9月30日の時点では、タイガースの64勝97敗(.398)に対し、ジャイアンツは63勝98敗(.391)だった。10月1日にジャイアンツが負けていれば、タイガースの勝敗にかかわらず、全体1位の指名権はジャイアンツが得ていた。

 ジャイアンツに勝利をもたらすとともに、ジャイアンツから全体1位の指名権を奪ったのは、7月にチームへ戻ってきた「カンフー・パンダ」、パブロ・サンドバルだ。同点の9回裏に、サンドバルはサヨナラ本塁打を放った。タイガースはこの一打(と自らの黒星)により、全体1位の指名権を手にした。

 ちなみに、162試合目にタイガースが勝ち、フィラデルフィア・フィリーズが負けていれば(実際の勝敗はどちらも逆)、全体1位の指名権はジャイアンツのもので、フィリーズが2位、タイガースは3位だった。この場合、タイガースとフィリーズは65勝97敗で並ぶが、フィリーズは前年も負け越している。

 タイガースが全体1位で指名するのは、オーバーン大の右投手、ケーシー・マイズだろう。マイズは将来、ジャイアンツにとっては「カンフー・パンダが逃したエース」となるかもしれない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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