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カノーの出場停止後、マリナーズが動いた。「最もポストシーズンから遠ざかる球団」の称号を返上するために

宇根夏樹ベースボール・ライター
アレックス・コロメ May 24, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月15日、薬物の陽性反応により、ロビンソン・カノー(シアトル・マリナーズ)が80試合の出場停止を科された。マリナーズはセンターのディー・ゴードンをカノーの抜けた二塁へ移し、センターにはギレルモ・ヘレディアを据えた。

 ゴードンは昨シーズンまで、マイアミ・マーリンズで二塁を守っていた。ヘレディアは4月下旬にAAAへ――イチローではなく彼が――降格となった時点で出塁率.417を記録していた。5月頭の昇格後は、20試合で出塁率.452だ。

 二塁へ移ってすぐ、ゴードンは故障者リストに入った。ただ、マリナーズが直後にタンパベイ・レイズから獲得したのは、二塁手ではなく外野手と救援投手、ディナード・スパンアレックス・コロメだった。

 早ければ、ゴードンは5月中に復帰できる。また、このトレードは、外野の選手層を厚くする意図もあるが、それ以上にブルペン補強の意味合いが大きいと思われる。

 コロメはカッターを軸に、過去2年に計84セーブを挙げた。昨シーズンの47セーブは、両リーグで最も多かった。だが、ここからは、クローザーのエドウィン・ディアズにつなぐセットアッパーとして投げる。マリナーズのブルペンでは、デビッド・フェルプスが開幕前にトミー・ジョン手術を受け、シーズン全休となった。ディアズの直前に登板することの多いホアン・ニカシオは、防御率5点台だ。

 マリナーズは現在、ヒューストン・アストロズに次ぐ地区2位にいる。勝率はア・リーグ4位なので、このままいけば17年ぶりにポストシーズン進出を果たし、「最もポストシーズンから遠ざかる球団」の称号を返上できる。

 なお、カノーの出場停止は8月半ばに終わるが、今秋のポストシーズンには出場できない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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