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イチローが塗り替えられなかった、シングル率100%のシーズン最多安打

宇根夏樹ベースボール・ライター
マーク・グルジラネック October 17, 2005(写真:ロイター/アフロ)

 今シーズン、イチローは9本のヒットを打った。すべてシングル・ヒット(単打)で、二塁打、三塁打、本塁打のエクストラベース・ヒット(長打)はまったくなかった。

 もしかしたら、これは珍しい記録ではないのか。調べてみたところ……そうでもなかった。

 昨シーズンはセントルイス・カーディナルスのマグナレース・シエラ(現マイアミ・マーリンズ)が、単打だけを19本放った。今シーズンも5月10日の時点では、ライアン・ラマー(ミネソタ・ツインズ)とノエル・クエイバス(コロラド・ロッキーズ)が、長打なしのままイチローより多くのヒット、11本と10本を記録している。

 ファングラフスによると、シングル率100%のシーズン最多安打(1900年以降)は、1906年にジャック・オコナーが記録した33本だ。シーズン30本以上は4人いて、オコナーを含む3人は80年以上も昔だが、マーク・グルジラネックは今から8年前の2010年に、長打なしで30本のヒットを打った。

 この年、グルジラネックは30試合に出場した後、6月上旬にクリーブランド・インディアンズから解雇された。シーズン打率は.273(110打数30安打)。6月2日の9回表に放った大飛球は、センターを守るオースティン・ジャクソン(現サンフランシスコ・ジャイアンツ)の好捕に阻まれなければ、二塁打か三塁打となっていたはずだ。その時点でアーマンド・ガララーガの完全試合は潰え、ジム・ジョイスの誤審による「幻の完全試合」も生まれなかった。

 翌年2月にグルジラネックは引退を表明し、現在はシカゴ・ホワイトソックス傘下のAAA、シャーロット・ナイツで監督を務めている。通算2040安打(打率.289)には長打が517本(二塁打391本、三塁打36本、本塁打90本)あり、シングル率は74.7%だった。

 ちなみに、イチローの通算シングル率は81.4%(2514/3089)。1900年以降に2000安打以上を打った257人の8位に位置する(グルジラネックは57位)。また、イチローよりもシングル率の高い7人のなかに、3000安打以上はいない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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