多くの球場にはオルガニスト(オルガン奏者)がいて、場面に合わせて曲(の一部)を奏でる。例えば、ホーム・チームの選手が四球を選んだ時は、走らずにウォーク(歩き)で一塁へ行けることから、エアロスミスの(あるいはRun-D.M.C.がカバーした)「ウォーク・ディス・ウェイ」やバングルスの「ウォーク・ライク・アン・エジプシャン」などが定番だ。時には、相手チームの選手をからかったりすることもある。

 アトランタ・ブレーブスの本拠地、サントラスト・パークでオルガニストを務めるマシュー・カミンスキーは、4月3日の試合で、6回表にブライス・ハーパー(ワシントン・ナショナルズ)が打席に入る際に「ゴー・カブス・ゴー」を弾いた。さらに、翌日の1打席目には「ニューヨーク、ニューヨーク」を演奏した。この2曲は、シカゴ・カブスとニューヨーク・ヤンキースがそれぞれのホームで勝った時の定番ソングだ。

 今シーズンが終わると、ハーパーはFAになる。新たな契約は、ジャンカルロ・スタントン(ヤンキース)の13年3億2500万ドルを上回り、史上初の総額4億ドルに達する可能性もある。これほどの大枚を出せるのは、資金の豊富な球団に限られるが、カブスとヤンキースはそこに含まれている。どちらも、有力候補と言ってもいい。一方、ハーパーがブレーブスに入団することはないだろう。

 もっとも、カミンスキーは他のバリエーションも用意しているらしい。実際に演奏したかどうかは確認していないが、スポーツ・イラストレイテッドのジョン・テイラーは、ランディ・ニューマンの「アイ・ラブ・L.A.」と映画「ロッキー」のテーマ曲を挙げている。前者はロサンゼルス・ドジャース、後者はフィラデルフィア・フィリーズを指す。「ロッキー」の舞台はフィラデルフィアだ。

 ハーパーがどの球団と契約するかを予想するのは難しい。ただ、このままいけば、どこと契約しようとも4億ドル以上を手にするのではないか。カミンスキーが「ゴー・カブス・ゴー」を弾いた打席は三塁ゴロに終わったものの、ハーパーは開幕から7試合で4本塁打を放っている。また、「ニューヨーク、ニューヨーク」の打席を含めて10四球(敬遠ゼロ)を選んでおり、打率こそ3割未満ながら、出塁率は5割近い。