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トレードが注目される先発投手ビッグ3、ダルビッシュ、バーランダー、グレイには投球以外に大きな違いあり

宇根夏樹ベースボール・ライター
ソニー・グレイ(オークランド・アスレティックス)Jul 5, 2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 シカゴ・ホワイトソックスにいたホゼ・キンターナは、7月13日にシカゴ・カブスへ移った。これから月末のトレード・デッドラインまでに移籍の可能性がある先発投手のビッグ3は、ダルビッシュ有(テキサス・レンジャーズ)、ジャスティン・バーランダー(デトロイト・タイガース)、ソニー・グレイ(オークランド・アスレティックス)だろう。

 この3人であれば、誰をローテーションに加えてもインパクトは大きい。けれども、投球はさておき、彼らには大きな違いがある。

 今シーズンが終わると、ダルビッシュはFAになる。それに対し、バーランダーとグレイのFAは、早くても2019年のシーズン終了後だ。

 バーランダーとグレイにしても、同じというわけではない。バーランダーは長期契約を交わしており、2018年と2019年の年俸は今シーズンと同じ2800万ドルだ。来シーズンの開幕時には35歳という年齢を考えると、大枚に見合う働きができるのかに不安を残す。この契約には2020年のオプションもついていて、2019年にサイ・ヤング賞の投票で5位以内に入ると、バーランダーは年俸2200万ドルが保証される。

 一方、グレイは来シーズンの開幕を28歳で迎える上、年俸調停の申請権は持っているものの、長期契約は得ていない。ちなみに、今シーズンの年俸は357万5000ドルに過ぎず、ダルビッシュの3分の1、バーランダーの8分の1程度だ。

 こういったことからすると、ポストシーズンを含めても3ヵ月でFAになるダルビッシュや、30代半ばのバーランダーよりも、グレイを獲得する方がいいように思える。

 ただ、それだけにアスレティックスが要求する見返りは大きくなる。また、FAまでに時間があるため、アスレティックスは強気に出ることもできる。満足できるプロスペクトを得られなければ、トレードに出すのは今夏でなくてもいい。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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