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ブライス・ハーパーの本塁打が飛び込んだ先は……水に関わりがあるとはいえ、海でも川でもプールでもなく

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブライス・ハーパー(ワシントン・ナショナルズ)Apr 17, 2016(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

サンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地AT&Tパークでは、場外ホームランがマッコビー湾に飛び込むことがある。「スプラッシュ・ヒット」だ。グレートアメリカン・ボールパーク(シンシナティ・レッズ)の後方にはオハイオ川、PNCパーク(ピッツバーグ・パイレーツ)の後方にはアレゲニー川が流れている。ボールパークによっては、場外本塁打でなくとも水しぶきが上がる。カウフマン・スタジアム(カンザスシティ・ロイヤルズ)には噴水、チェイス・フィールド(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)にはプール、トロピカーナ・フィールド(タンパベイ・レイズ)にはエイが泳ぐ水槽がある。

4月17日の試合でブライス・ハーパー(ワシントン・ナショナルズ)が放ったアーチが飛び込んだ先も、水に関わりのある場所だった。ただし、上に挙げた場所とはまったく趣が異なっていた。ハーパーの一打は、シチズンズバンク・パーク(フィラデルフィア・フィリーズ)の右中間スタンドにあるブルペンでバウンドし、そこにあるトイレに消えていった(トイレのドアは開いていた)。

MLB.comのウィリアム・ラドソンによれば、この数日前、ハーパーがマイアミ・マーリンズと対戦した時に、マーリンズのバリー・ボンズ打撃コーチは「あいつはビースト(野獣)だ。でも、まだ俺と比べるには至ってない」と語ったという。確かに、ハーパーの通算本塁打はボンズの7分の1に過ぎない。また、ボンズが35本の「スプラッシュ・ヒット」を打っているのに対し、ハーパーはゼロだ。AT&Tパークではポストシーズンを含めた12試合で4本塁打を記録していて、うち1本はマッコビー湾に飛び込んでいるものの、ダイレクトではなかったため「スプラッシュ・ヒット」には認定されていない。

とはいえ、トイレに飛び込むホームランは、さすがのボンズも打ったことがなかったのではないだろうか。

マーリンズ・パークへ移動した翌18日はホームランを打てず、前に紹介した「100点満点とはいかずとも、ハーパーの100号アーチは母の誕生日に放ったグランドスラム!」から始まったストリークは4試合で途切れた。だが、シチズンズバンク・パークに限れば、6試合連続で継続している(昨年9月と今年4月に3試合ずつ)。イライアス・スポーツ・ビューローは、同じ球場でアウェーの選手が6試合続けてホームランを打つのは、それがどの球場であれ、メジャーリーグ最長タイ記録だと謳っている。ハーパーは5月30日から再び、シチズンズバンク・パークの打席に立つ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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