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メッツファン垂涎のカルトなボブルヘッド人形が球場で配られるが、同じ日にメッツの試合を観るのは無理かも

宇根夏樹ベースボール・ライター
ウィルマー・フローレス(ニューヨーク・メッツ)Jul 29, 2015(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

もし、あなたがニューヨーク・メッツのファンで、7月31日にニューヨークにいたら、きっと迷ってしまうだろう。シティ・フィールドに行くか、それともMCUパークに行くべきか。前者はメッツ、後者はメッツ傘下のマイナーリーグ球団、ブルックリン・サイクロンズの球場だ。

メジャーリーグの試合に背を向けて、マイナーリーグの試合に行く? なかにはそういう人もいるに違いない。けれども、多くの人はメッツの試合を選ぶはずだ(ニューヨーク・ヤンキースはタンパに遠征している)。ただし、7月31日に限っては違う要素が絡んでくる。

この日、MCUパークではボブルヘッドを配布する。それも、普通の人形ではない。「フロム・ティアーズ・トゥ・チアーズ・ウィルマー・フローレス・ボブルヘッド」だ。バンドのティアーズ・フォー・フィアーズとは関係ない。「悲涙から喝采へ」とでも訳すべきか(原文に倣い、最後の一音のみながら韻を踏んでみた)。人形は正面と背面ではなく、両方とも正面で、それぞれ、泣き顔のフローレスと笑顔のフローレスになっている。

昨年の7月29日、ツイッターの速報でフローレスがメッツからトレードされると知った観客は、彼が打席に入った際にスタンディング・オベーションで別れを惜しんだ。その後、守備についたフローレスは堪えきれずにフィールドで涙を流した。ところが、このトレードは成立せず、フローレスは2日後の7月31日にサヨナラ本塁打を放ち、観客から喝采を浴びた。

フローレスは2008年に、サイクロンズの選手として8試合に出場している(ホームでは5試合)。サイクロンズのリリースによると、17歳と22日のサイクロンズ・デビューは今でも球団最年少だという。

7月31日のメッツ戦は午後1時10分に始まり、サイクロンズ戦は午後4時からだ。シティ・フィールドからMCUパークまでをシミュレーションしてみたところ、地下鉄だと1時間半以上かかり、車なら30分くらいと出たが、渋滞もあり得る。ボブルヘッド配布は先着2500人。フローレスのプレーを観た後、ボブルヘッドをゲットするのは難しそうだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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