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「エンター・サンドマン」再び。マリアーノ・リベラの息子がプロデビュー

宇根夏樹ベースボール・ライター

6月23日、マイナーリーグの球場でメタリカの名曲「エンター・サンドマン」が流れた。

オーバーン・ダブルデイズ(ワシントン・ナショナルズ傘下のA-)とステイトカレッジ・スパイクス(セントルイス・カーディナルス傘下のA-)が対戦した試合の6回裏。ダブルデイズの3番手として、マリアーノ・リベラがマウンドに上がった時のことだ。

彼の同名の父は、ニューヨーク・ヤンキースでクローザーを務め、メジャーリーグ最多の通算652セーブを挙げた。その登場曲は「エンター・サンドマン」だった。通算422セーブのビリー・ワグナーも「エンター・サンドマン」を登場曲にしていて、先に使ったのもワグナーだが、リベラの方がよく知られている。息子の登板はアウェーだったが、プロデビューということで、スパイクスのスタッフがこの曲をかけた。

息子のフルネームは、マリアーノ・リベラ三世。前年のドラフトでヤンキースから29巡目・全体872位指名を受けたが、この時は大学に残り、今年6月に4巡目・全体134位でナショナルズから指名されてプロ入りした。パナマ出身の父はドラフト対象外だったが、息子はアメリカ育ち。親子とも右投手ながら、息子の背番号は「44」で、カッターではなくスライダーを決め球とする。大学ではスターター(先発投手)として投げていたが、ナショナルズはリリーバー(救援投手)として育てるようだ。

ディー・ゴードン(マイアミ・マーリンズ)は、通算158セーブのトム・ゴードンを父に持つ。父は1998年にセーブ王、息子は2014年に盗塁王を獲得した。2012年にニューヨーク・メッツで32本塁打を放ったアイク・デービス(オークランド・アスレティックス)の父、ロン・デービスは通算130セーブを挙げている。6月5日に通算250本塁打に到達したアダム・ラローシュ(シカゴ・ホワイトソックス)の父、デーブ・ラローシュは通算126セーブだ。

だが、揃って通算50セーブ以上を挙げた兄弟はいるものの、親子はまだいない。通算186セーブを記録したジェフ・ラッセルの息子、ジェームズ・ラッセル(シカゴ・カブス)はメジャーリーグ6年目のリリーバーだが、通算3セーブに過ぎない(2015年6月24日時点)。ジェイソン・グリリ(アトランタ・ブレーブス)は6月20日に通算70セーブ目を挙げたが、父のスティーブ・グリリは通算3セーブだった。

リベラはデビュー戦で2イニングを投げ、2安打を打たれたものの、うち1本は内野安打で、4三振を奪って失点はなかった。プロとして、まずは順調に一歩目を踏み出した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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