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ジーターはヤンキース最後のキャプテンになるのか。キャッシュマンGMはそう考えている

宇根夏樹ベースボール・ライター

ニューヨーク・ヤンキースのキャプテンは、デレク・ジーターを最後にもう現れないのだろうか。3月5日、ブライアン・キャッシュマンGMは空席となったキャプテンについて、ESPNニューヨークのラジオ番組「ザ・マイク・ルピカ・ショー」でこう語った。

「私の意見であって、私が決めることではないけれど、背番号「2」とともに封印すべきだと思う。私は他の誰にもキャプテンの称号を与えるつもりはない」

ヤンキースのメディア・ガイドによれば、ジーターは歴代11人目のキャプテンだった。初代のハル・チェイスの前後にキャプテンと見做されていた4人を含めると、15人目となる。

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そのなかで、ジーターがキャプテンを務めた期間の長さは群を抜く。在任中のワールドシリーズ出場2度(2003、09年)とワールドチャンピオン1度(2009年)は3位タイながら、ポストシーズン出場9度も最多だ(そもそも、キャプテン在任9年以上はジーター以外にいない)。存在の大きさについては、時代が異なるために比較しにくいが、キャッシュマンの言葉を待つまでもなく、キャプテンは(少なくとも当分は)不在のままが妥当だろう。

ブライアン・マッキャンCC・サバシアブレット・ガードナーチェイス・ヘッドリーアレックス・ロドリゲス??? 

ジーターのようなキャプテンがいなくとも、リーダーとして存在感を示せる、あるいは示すべき選手は皆無ではない。また、キャプテンがいれば、チームが必ず勝てるものでもない(逆もまた然り)。ジーターにしても、彼一人でヤンキースを牽引したわけではなかった。そこには、以前に「ヤンキースがポサダ、ペティット、バーニーの背番号を永久欠番に。来年はジーターも有力ながらその後は!?」でも書いたとおり、マリアーノ・リベラホルヘ・ポサダアンディ・ペティット、そしてバーニー・ウィリアムズがいた。

オーナーのジョージ・スタインブレナーがジーターをキャプテンに任命した時期にも注目したい。ジーターが持っている4つのワールドチャンピオン・リングのうち、3つめまではキャプテン就任前(1996、1998~2000年)に得たものだ。ジーター自身も、1996年に新人王を受賞してから2002年までの7年間に、オールスター・ゲームに5度選ばれ、MVP投票では10位以内に4度入っている。

キャプテンありきで誰かを選ぶのではなく、キャプテンにふさわしい(もちろん数字ではない)選手が現れるまで、その座は空白でいい。いや、そうあるべきだ。

現ロサンゼルス・ドジャース監督のドン・マッティングリーが選手生活を終えてから、ジーターがキャプテンになるまでには、7年以上のブランクがあった。ルー・ゲーリッグ(プレーしたのは1939年4月までだが、1941年6月に死去するまでキャプテンだった)の次にサーマン・マンソンがキャプテンに就任するまでには、30年以上もかかっている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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