心療内科を受診してがっかり

「心療内科を受診したけれど、診察時間は数分、心の悩みをろくに聞いてもらえずがっかり」という声を聞くことが多いです。何分も待った揚げ句に薬を処方されただけ、では受診する気がしなくなるのも無理はありません。ただ現在の保険医療の仕組みの中では、たくさんの患者さんを抱えたままで、お一人お一人の話をゆっくり聴くという診療体制を取ることは難しくなっているのが現状です。心の不調を感じたとき心療内科や精神科を思い浮かべる方は多いと思いますが、相談先としてはカウンセラーも心強い存在です。

心療内科と精神科、どう違う?

さて、心療内科、精神科、カウンセラーの違いをよくご存じない方もいると思うので簡単に説明します。精神科と心療内科は両方が標榜されているクリニックがあるので同じと考えられがちですが、大きく異なります。精神科では統合失調症や双極性障害など精神的な疾患を治療します。一方、心療内科はその名前の通り、「内科」がベースです。身体の症状がありその要因や背景に心理的な問題が絡んでいるような疾患を治療するのが心療内科です。身体の症状の治療をするだけでは改善しない疾患について心の問題を踏まえて治療していくという分野です。

心理的な問題が絡む身体の症状は、「心身症」という名前で知られてきたように様々な症状を引き起こします。例えば、めまいや耳鳴り、喘息、過敏性大腸症候群、胃潰瘍、心臓神経症などは聞いたことがあると思いますが、ストレスにより声が出なくなる失声、ストレスによる発熱や体の痛み、などの他、心理的な背景のある糖尿病、心筋梗塞や不整脈などもあります。ストレスを抱え込み自分の気持ちを抑え込んでいるために身体に症状が出てしまうことも多いのです。このような場合、初診で治療方針を立てて身体症状に対する薬を処方するような治療が一般的です。

心療内科とカウンセラーの関係は?

心療内科ではその方が抱えている心の悩みや問題を把握し理解したうえで治療をしていくのがベストです。ただ、保険医療の中で医師が心の悩みを詳しく聞いて解決を支援することは時間的にも無理な現実があり、一般的には初診で15分から30分、再診で5分から10分くらいの診察時間になる場合が多くなっています。なかには処方箋をもらっただけで診療が終ったという声を聞くこともあります。これでは不満感が残るのは当然でしょう。心の悩みを安心して話すことができて共感してもらえる場があると症状の改善に役立つことは言うまでもありません。また悩みの根底にその方の考え方の癖などがありそれに気がつき必要に応じてトレーニングして改善していくことが大事なケースもあります。ですから私がおすすめしたいのは初診で心療内科を受診した際に、ご自分が抱えている悩みや症状を伝え、医師と通常の診療の他にカウンセリングが必要かどうかなどを話し合い治療方針を立てることがいいのではと思います。またどのようなカウンセリングがいいかも医師と相談して紹介してもらうこともいいでしょう。医師はたいていの場合、自分が信頼でき仕事を連携するカウンセラーを持っていますから遠慮なくきいて紹介してもらってください。またもし紹介してもらったカウンセラーと相性が良くないと思う場合も遠慮なく医師に伝えるといいと思います。

カウンセリングを受けるには?

医師は、臨床心理士か公認心理師の資格を持ったカウンセラーを紹介してくれると思います。臨床心理士は民間の資格で公認心理師は国家資格ですが、どちらも信頼できる資格です。望ましいのは、心療内科で医師とカウンセラーが一緒に勤務しているようなクリニックを選んで受診するか、あるいは心療内科でカウンセラーの紹介を受け医師とカウンセラーでチームを作り治療してもらうことがベストと言えます。カウンセリングでは、具体的な悩みを聞き解決策を相談しながら、必要に応じて「認知行動療法」など考え方の癖に気づきストレスに対する回復力を上げるようなトレーニングを行ったりします。

臨床心理士や公認心理師によるカウンセリングは医療保険の対象外ですので、全額自己負担です。料金は施設によって異なりますが50分~1時間で8000~1万円くらいのところが多いようです。料金が高くて負担が大変な場合は、心理系の大学院などが一般に提供している相談施設を利用する方法もあります。臨床心理士を目指す院生が指導教員のもとでカウンセリングを比較的安価(1時間3000円など)で行っています。カウンセラーという肩書は資格がなくても名乗ることができますが、心の問題は専門的にしっかり学んだ方が手助けしないとかえってよくない結果になることがありますから、信頼できる方を選んでいただきたいと思います。