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地震や飛行機事故:報道でつらい思いをしている人のケア

海原純子博士(医学)・心療内科医・産業医・昭和女子大学客員教授
写真はイメージです。(写真:アフロ)

今年は元日から能登半島地震が起きたり、2日に羽田空港で飛行機事故が起きるなど衝撃的な出来事が続きました。航空機の衝突はいまだに原因がつかめず、能登半島地震は次第に明らかになる被災地の状況を見て気持ちが落ち込むという声を聞きます。

報道を見聞きして心が疲労

航空機の炎上の映像が何度も繰り返され、民間機の乗客は助かったものの同乗していたペットを助けられなかったということをきいて、自分もいたたまれなくなったという方がいます。また東日本大震災で被災した経験を持つ方から被災地の映像を見て辛くなったと聞きました。自分が体験した方はもちろんですが、体験しなくても映像を見て気分が悪くなるなど影響を受けることは珍しくありません。

これまでも2001年のアメリカの同時多発テロや2013年のボストンマラソン爆破事件などでは報道を見る視聴者のメンタルヘルスへの影響が報告されています。もしテレビやネットの報道を見て落ち着かない気分が起きたらしばらく報道から離れることが必要です。

報道を見るのは時間を決めて見る番組を選ぶ
不用意に見ない
同じ映像・特に衝撃的な映像を繰り返し見ない
衝撃的な映像は避ける
SNSを見る時間を決める
夜寝る前は報道を見ない
体調がよくない時は報道をさける

衝撃的な報道を見ることでストレス状態が生まれます。

交感神経が緊張している状態を緩めることが大事です。予期していない時に衝撃的な映像を見て動悸がしたらまず深呼吸をしていただきたいですが、特に大事なのが寝る前のひとときです。睡眠の質を良くすることが心の健康を守ります。

寝るまえに自律神経の調整を

  • ゆっくり深呼吸―吸う息より吐く息を長くする
  • 足浴などで足元を温める
  • 暖かい飲み物、ハーブティーなどをゆっくり飲む
  • リラックスできる音楽を聴く
  • 身体をのばしてストレッチする

普段から人の痛みに共感する気持ちが強い方やご自分も同じような体験をした方はつらい思いをしている方の気持ちに敏感になります。自分も何かできることをしようと思って募金などできることをしていたら気持ちが変わってきたという方がいました。

3段階のステップが心を守る

報道を見て辛い気持ちになったら、まず報道から距離を置く、そして自律神経を整える、そして自分ができることをする、という3段階のステップが心を守ることにつながると思います。

博士(医学)・心療内科医・産業医・昭和女子大学客員教授

東京慈恵会医科大学卒業。同大講師を経て、1986年東京で日本初の女性クリニックを開設。2007年厚生労働省健康大使(~2017年)。2008-2010年、ハーバード大学大学院ヘルスコミュニケーション研究室客員研究員。日本医科大学医学教育センター特任教授(~2022年3月)。復興庁心の健康サポート事業統括責任者(~2014年)。被災地調査論文で2016年日本ストレス学会賞受賞。日本生活習慣病予防協会理事。日本ポジティブサイコロジー医学会理事。医学生時代父親の病気のため歌手活動で生活費を捻出しテレビドラマの主題歌など歌う。医師となり中止していたジャズライブを再開。

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